「共依存について、心理学や看護学ではどのように研究されているのだろう」「ネット上の解説ではなく、論文を読んで確かめたい」と考えている方もいるでしょう。
共依存について文献を調べると、研究によって説明が少しずつ異なることに気づきます。これは単なる表現の違いではありません。誰を研究対象にしているのか、共依存をどのように定義しているのか、何の尺度で測定しているのかによって、研究が扱っているもの自体が変わることがあるためです。
そのため、「共依存とは学術的にこういうものだ」と一つの論文だけから結論づけるより、複数の研究を比較しながら読むことが大切です。
この記事では、共依存に関する論文を自分で探し、研究の違いを整理して読めるようになるための基本を解説します。
- 共依存が研究によって異なる意味で使われる理由
- 共依存の論文で扱われている主な研究テーマ
- 共依存研究で使われる尺度と確認したいポイント
- CiNii Research、J-STAGE、PubMedなどを使った文献の探し方
共依存研究で最初に知りたいこと
共依存の論文を読むとき、最初に押さえておきたいのは、「共依存」という言葉に完全に統一された定義があるわけではないという点です。
共依存という概念は、もともとアルコールなどの依存・嗜癖問題を抱える人と、その家族やパートナーとの関係を考える文脈で発展してきました。その後、研究や臨床、セルフヘルプなどで用いられる範囲が広がり、対人関係全般の特徴として論じられることもあります。
過去のレビューでも、共依存には複数の定義があり、その概念としての妥当性や測定方法が議論されてきたことが整理されています。
つまり、「共依存」という単語がタイトルに入っている論文同士でも、同じものを調べているとは限りません。
たとえば、ある研究では、
- 依存症の人を支える家族の自己犠牲的な行動
- 自分よりも相手を優先する傾向
- 他者に意識が向きやすい対人関係の特徴
- 自己評価や感情表現との関連
- 家族関係や生育環境との関連
などを共依存として扱うことがあります。
そのため、論文のタイトルや「共依存」というキーワードだけを見るのではなく、本文で採用されている定義を確認する必要があります。

共依存の論文で確認する4項目
共依存に関する論文を見つけたら、細かい統計を読む前に「何を、誰について、どのように調べた研究なのか」を確認すると理解しやすくなります。
特に重要なのは、研究対象・定義・尺度・発表媒体の4点です。
研究対象は誰なのか
まず確認したいのが研究対象です。
共依存研究では、研究によって対象者が大きく異なります。たとえば、
- アルコール使用などの問題を抱える人の配偶者
- 薬物などの嗜癖問題を抱える人の家族
- 大学生
- 一般成人
- 恋愛関係にある人
- 家族支援を利用している人
- 自助グループなどに参加している人
といった違いがあります。
依存症者の家族を対象にした研究で得られた結果を、そのまま一般的な恋愛関係に当てはめることはできません。
反対に、大学生を対象に質問紙調査を行った研究だけから、嗜癖問題を抱える家族について結論づけることも難しいでしょう。
研究結果を読むときは、まず「この結果は誰について分かったことなのか」を意識してみてください。
共依存をどう定義しているか
次に重要なのが定義です。
論文の「Introduction」「背景」「用語の定義」「Methods」などを見ると、研究者が共依存をどのように捉えているかが書かれていることがあります。
たとえば、他者への過度な焦点や自己犠牲を中心に考える研究もあれば、依存・嗜癖問題を抱える人と家族との関係性に限定して定義する研究もあります。
国内の文献でも、嗜癖問題をもつ人とその家族のリカバリーを扱った概念分析では、対象となる文献を国内外から収集し、家族と当事者との関係や心理的距離、セルフケアなどを含めて検討しています。そこでは41文献を対象に概念分析が行われており、共依存やリカバリーを文脈のなかで捉える必要性が示されています。
同じ「共依存研究」でも、論文ごとの定義を比較すると、なぜ結果が一致しないのかが見えやすくなることがあります。
どの尺度を使っているか
質問紙研究では、共依存を数値化するために尺度が使われることがあります。
ここで注意したいのは、「共依存尺度」と書いてあればどれでも同じではないことです。
尺度によって、
- どのような理論や定義から作られたか
- 何を測定する項目で構成されているか
- 一つの総合得点として扱うか
- 複数の下位尺度に分けるか
- どの集団で信頼性や妥当性が検討されたか
が異なります。
したがって、論文の結果を見るときは尺度名まで確認することが重要です。
どこで発表された研究か
もう一つ確認したいのが発表媒体です。
検索結果には、査読付き学術論文だけでなく、
- 学会大会の発表要旨
- 紀要論文
- 学位論文
- 総説
- 書評
- 解説記事
などが含まれることがあります。
これらに価値がないという意味ではありません。ただし、研究方法や結果を詳しく検討したい場合は、原著論文なのか、レビュー論文なのか、学会要旨なのかを区別するとよいでしょう。
共依存で研究されている主なテーマ
「共依存 論文」と検索しても幅広い研究が出てくるため、知りたいテーマを一段具体化すると文献を探しやすくなります。
代表的な研究テーマを整理してみましょう。
依存症と家族
共依存という概念の歴史的背景とも関係が深いのが、アルコールや薬物などの問題と家族との関係を扱う研究です。
たとえば、
- 依存・嗜癖問題を抱える人の配偶者や家族
- 家族の援助行動
- 自己犠牲や過剰な世話
- 当事者と家族との心理的距離
- 家族支援
- 家族自身のリカバリー
などが研究対象になります。
この領域を調べたい場合は「共依存」だけでなく、「依存症」「嗜癖」「家族」「配偶者」「リカバリー」「家族支援」といった語を組み合わせると見つけやすくなります。
対人関係や恋愛関係
その後の研究では、共依存を特定の依存症者との関係だけに限定せず、対人関係のパターンとして扱うものもあります。
たとえば、
- 他者を優先しすぎる傾向
- 相手との境界
- 自己評価
- 自律性
- 感情表現
- 対人依存
- 恋愛関係
- 愛着との関連
などです。
ただし、「愛着」「対人依存」「共依存」は同義ではありません。
相関が見つかったとしても、「愛着の問題がある人は共依存になる」といった因果関係まで示されたわけではないことに注意が必要です。
生育環境や家族背景
共依存と幼少期の家庭環境との関連を調べる研究もあります。
よく検討されるのは、
- 家族内の慢性的なストレス
- 親との関係
- 家庭内の依存症
- 自己評価
- 家族機能
- 養育環境
などです。
ここで特に注意したいのは、関連があることと原因であることは違うという点です。
たとえば、ある家庭環境を経験した人の共依存尺度得点が平均的に高かったという研究があっても、その家庭環境だけが共依存の原因だとはいえません。
現在の自分を過去の家庭環境だけで説明しようとせず、研究デザインがどこまで因果関係を検討できるものなのかを見ることが大切です。
尺度の開発と妥当性
「共依存とは何を測定すればよいのか」という問題そのものも研究テーマになっています。
そのため、共依存に関しては尺度開発や尺度の妥当性を検討する論文があります。
尺度研究では、
- 項目の作成
- 因子分析
- 内的一貫性
- 再検査信頼性
- 構成概念妥当性
- 他の心理尺度との関連
などが検討されます。
「共依存の特徴を知りたい」という場合でも、こうした尺度開発論文を読むと、その研究者が共依存をどのような要素から構成される概念と考えているのかが分かります。
回復や家族支援
共依存を「どのような人か」という特徴だけで捉えるのではなく、家族自身がどのように関係を見直し、自分の生活や心理的な距離を取り戻していくかを扱う研究もあります。
たとえば、
- 支援につながる過程
- 当事者の問題と自分の責任を分けること
- セルフケア
- 心理的距離
- 自尊感情
- 家族関係の再構築
- 自助グループ
などです。
こうした論文では、単純な尺度得点だけでなく、インタビューなどの質的研究が役立つこともあります。
共依存研究で使われる尺度
共依存について論文を比較するとき、尺度は特に重要な手がかりです。代表例を知っておくと、論文の違いを理解しやすくなります。
Spann-Fischer Codependency Scale
共依存研究で知られている尺度の一つが、Fischer、SpannらによるSpann-Fischer Codependency Scale(SF CDS)です。
1991年の「Measuring Codependency」で開発が報告され、対人関係において自分より外側へ意識が向きやすいことや、感情を表現しにくいこと、関係性から自己の意味を得ようとすることなどを含む考え方をもとに尺度化が行われました。
後続研究でもこの尺度を用いて、自己評価、対人関係、家族背景などとの関連が検討されています。
ただし、この尺度で高得点だったからといって、その人について医学的・心理学的な診断が確定するわけではありません。
あくまで、研究上設定された概念を質問項目によって測定するための道具として読む必要があります。
Holyoake Codependency Index
もう一つの例がHolyoake Codependency Index(HCI)です。
DearとRobertsによる研究では、最終的に13項目からなる尺度として検討され、「External Focus」「Self-sacrifice」「Reactivity」という3つの側面から構成されました。家族カウンセリング機関の利用者と一般集団で因子構造などが検討されています。
日本語にすると、おおまかには「自分の外側への焦点」「自己犠牲」「相手の問題に対する反応性」といった方向性です。
ここから分かるのは、共依存を一つの性質として測る研究だけではなく、複数の側面に分けて理解しようとする研究もあるということです。
日本国内の共依存尺度
国内でも「共依存尺度の開発」をテーマとした研究があります。
たとえば洪金子による「共依存尺度の開発」(2006年、『アディクションと家族』23巻3号)があり、日本語で共依存尺度について調べたい場合の文献候補になります。
ただし、海外尺度と国内尺度を比較する場合には、「日本語だから同じ概念をより正確に測れる」と単純に考えるのではなく、それぞれの尺度がどのような理論、対象者、項目構成をもとに開発されたのかまで確認するとよいでしょう。
共依存の論文を2本以上比較するときは、「著者・年」「研究対象」「共依存の定義」「使用尺度」の4列だけでもメモを作ると、研究ごとの違いがかなり見えやすくなります。
尺度論文で確認したい用語
尺度研究を読むと、「信頼性」「妥当性」「因子分析」などの言葉が出てきます。統計の専門家でなくても、おおまかな意味を知っておくと論文を読みやすくなります。
| 用語 | おおまかな意味 | 読むときのポイント |
|---|---|---|
| 信頼性 | 測定結果がどの程度安定しているか | 項目同士のまとまりや再測定したときの安定性を見る |
| 内的一貫性 | 同じ概念を測る項目がどの程度まとまっているか | Cronbachのαなどが示されることがある |
| 再検査信頼性 | 時間をおいて測っても結果が安定するか | 測定間隔にも注目する |
| 妥当性 | 本当に測りたい概念を捉えているか | 他尺度との関連だけでなく複数の検討が必要 |
| 因子分析 | 項目の背後にあるまとまりを調べる方法 | 何因子になったかだけでなく各因子の内容を見る |
| 構成概念妥当性 | 理論上想定される関連が確認できるか | 自尊感情など他の概念との関連が検討される |
| 相関 | 2つの変数が一緒に変化する程度 | 相関だけでは原因と結果は決められない |
たとえば、「共依存尺度と自尊感情尺度に相関があった」という結果が示されても、それだけで「共依存が自尊感情低下の原因である」とはいえません。
逆の因果関係も考えられますし、両方に関係する別の要因があるかもしれません。
共依存の論文を探す方法
日本語論文と英語論文では、利用しやすいデータベースが少し異なります。最初は一つの検索語だけで大量に探すより、テーマを組み合わせて検索するのがおすすめです。
CiNii Researchで探す
日本語文献を幅広く調べたい場合、まず候補になるのがCiNii Researchです。
たとえば、次のような検索語を試せます。
- 共依存
- 共依存 尺度
- 共依存 家族
- 共依存 依存症
- 共依存 愛着
- 共依存 自尊感情
- 共依存 リカバリー
- 共依存 対人関係
「共依存」で検索して興味のある論文を一つ見つけたら、その論文に付いているキーワードや参考文献から検索語を増やしていく方法も有効です。
タイトルが見つかっても本文が無料公開されているとは限らないため、書誌情報だけを確認できる文献と全文を読める文献は区別してください。
J-STAGEで探す
J-STAGEでは、日本の学協会などが公開する学術論文を検索できます。
「共依存」だけでなく、
「共依存 AND 家族」 「共依存 AND 尺度」 「共依存 AND 依存症」
のようにテーマを絞ると探しやすくなります。
また、検索結果に学会発表要旨が含まれることもあるため、資料種別や掲載誌を確認してください。
同じテーマについて詳しい研究を探すなら、短い大会要旨からキーワードや著者名を知り、著者名でもう一度検索する方法もあります。
PubMedで英語論文を探す
依存症、精神保健、看護、家族支援などの領域で海外研究を探したい場合はPubMedも有用です。
英語では主に「codependency」「codependence」が使われます。
たとえば、
- codependency AND scale
- codependency AND validation
- codependency AND addiction
- codependency AND family
- codependency AND attachment
- codependency AND recovery
- codependency AND relationship
などから始められます。
英語が苦手な場合も、最初から全文を翻訳しようとする必要はありません。
まずタイトルとAbstractを読み、
- 研究目的
- 対象者
- 使用尺度
- 主な結果
- 研究の限界
の5点だけ拾ってみると、読むべき論文を絞れます。
参考文献からさかのぼる
共依存のように定義の歴史が長い概念では、検索結果の上位だけを見るより参考文献をたどる方法が役立ちます。
たとえば尺度を使った新しい論文を見つけたら、Methodsの尺度説明を見ると、元になった尺度開発論文が引用されています。
そこから、
尺度を使った最近の論文 → 尺度開発論文 → 定義の元になった研究 → その概念に対する批判的研究
という順番でたどることができます。
逆に古い重要論文から、その論文を引用している後続研究を探す方法もあります。
こうして文献同士のつながりを見ると、一つの説明を正解として覚えるより、「この概念がどのように研究されてきたのか」が見えてきます。
論文を読む順番
学術論文は最初から最後まで一字一句読む必要はありません。特に検索段階では、読む順番を決めておくと効率的です。
まずAbstractを読む
最初にAbstract、つまり要旨を確認します。
ここで、
- 何を明らかにした研究か
- 誰を対象にしたか
- どのような方法を使ったか
- 何が分かったか
を確認します。
自分の知りたいテーマと違っていれば、この段階で次の論文へ移って構いません。
Methodsで尺度と対象者を見る
次にMethods、方法を確認します。
共依存研究では特に、
- 対象者数
- 年齢や属性
- 募集方法
- 使用した共依存尺度
- 比較した心理尺度
を見ます。
たとえば大学生だけを対象にした研究なのか、特定の支援機関の利用者なのかでは、結果を一般化できる範囲が違います。
Resultsは数値より比較を見る
統計に慣れていない場合、すべての数式や検定を理解しようとすると大変です。
まずは、
「どの変数と関連したのか」 「関連しなかったものは何か」 「グループ間に差があったのか」
を確認してみてください。
予想どおりだった結果だけでなく、予想と異なった結果にも注目することが重要です。
Discussionで解釈を見る
Discussionでは、研究者自身が結果をどう解釈しているかが説明されます。
ただし、ここで書かれている内容すべてが「データそのもの」ではありません。
研究結果から比較的直接言えることと、先行研究を踏まえた研究者の解釈を分けて読むとよいでしょう。
Limitationsを必ず確認する
論文で非常に重要なのが限界です。
たとえば、
- 対象者が少ない
- 女性または男性に偏っている
- 特定地域だけの調査
- 大学生だけを対象としている
- 自己記入式質問紙だけを使用している
- 横断研究なので因果関係が分からない
といった限界があります。
研究者自身が限界を書いている場合は、結論とセットで読むことが大切です。
「この論文は正しいか間違っているか」ではなく、「この研究から、どこまでなら言えるか」と考えると、論文を落ち着いて読みやすくなります。
共依存研究で避けたい読み方
論文を読んでいると専門用語や数値が多いため、書かれていることを必要以上に確実な事実として受け取りやすくなります。
いくつか注意したい読み方があります。
一つの論文だけで定義を決める
共依存は、研究ごとに定義や測定方法に違いがあります。
一つの尺度開発論文を読んで「共依存とはこの特徴を持つ人のことだ」と固定してしまうと、別の研究分野で使われる意味を見落としてしまいます。
レビュー、尺度研究、個別の実証研究を分けて読むと理解しやすくなります。
相関を原因と解釈する
たとえば「共依存尺度得点と不安に関連があった」という結果があっても、
「共依存だから不安になる」 「不安があるから共依存になる」
のどちらとも、その研究だけでは判断できない場合があります。
特に一時点で質問紙に回答してもらう横断研究では、因果関係について慎重に考える必要があります。
平均値を一人ひとりに当てはめる
「あるグループの平均得点が別のグループより高かった」という研究結果は、グループ全体の傾向です。
そのグループに属するすべての人が高得点という意味ではありません。
依存症者の家族を対象とした研究で平均的な傾向が示されても、「依存症者の家族なら共依存になる」と決めつけることはできません。
尺度を診断として使う
心理尺度は研究で特徴や傾向を測定するために使われます。
尺度得点だけを見て、
「私は共依存である」 「あの人は共依存である」
と本人や他者を分類する使い方には注意が必要です。
人間関係について考えるときに大切なのは、名称を当てはめることそのものではなく、自分がその関係のなかで何に困っていて、どのような状態を望んでいるのかを整理することです。
共依存論文の比較例
実際に文献を集めるときは、次のような表を自分で作ると整理しやすくなります。
| 文献 | 主なテーマ | 確認したいポイント |
|---|---|---|
| Fischer & Spann(1991)「Measuring Codependency」 | 尺度開発 | 共依存をどう定義し、どのように測定可能な形にしたか |
| Dear & Roberts(2000)「The Holyoake Codependency Index」 | 尺度開発・因子構造 | External Focus、Self-sacrifice、Reactivityという構成 |
| Lindleyら(1999)「Codependency: predictors and psychometric issues」 | 尺度と心理的特徴 | 共依存尺度と自己評価などとの関連 |
| 洪(2006)「共依存尺度の開発」 | 日本語の尺度研究 | 国内でどのように共依存を測定しようとしたか |
| 国内のリカバリー概念分析(2023) | 嗜癖問題と家族のリカバリー | 共依存関係だけでなく、回復過程をどう捉えているか |
このように並べると、「共依存に関する論文が互いに矛盾している」というより、そもそも研究目的や概念化が違う場合があることが分かります。
さらに余裕があれば、次の列も追加してみてください。
- 対象人数
- 年齢
- 男女構成
- 国・地域
- 使用尺度
- 研究方法
- 主な結果
- 限界
卒業論文やレポートなどで文献を整理する場合にも、この方法が役立ちます。
共依存の論文のよくある質問
- 共依存には学術的に統一された定義がありますか?
-
完全に一つの定義へ統一されているとはいいにくい状況です。
依存・嗜癖問題を抱える人と家族の関係として捉える研究もあれば、自己犠牲、他者への過度な焦点、感情表現、対人関係の特徴などを含めて捉える研究もあります。
そのため、論文を引用するときは「共依存とは〇〇である」と一般化するより、「この研究では共依存を〇〇と定義している」と書き分けるほうが正確です。
- 共依存について日本語の論文はありますか?
-
あります。
CiNii ResearchやJ-STAGE、医療・看護系の文献データベースなどを利用すると、「共依存」「共依存尺度」「共依存 家族」「共依存 依存症」などの検索語から関連文献を探せます。
尺度開発、依存症者の家族、看護、家族支援、社会学的な概念検討など、研究領域は複数あります。
- 共依存の尺度で高得点なら共依存と判断できますか?
-
尺度得点だけで本人を「共依存」と断定するのは適切ではありません。
尺度は、研究者が設定した共依存という構成概念について、その程度や特徴を測定するための道具です。
尺度ごとに定義や項目構成も異なるため、「どの尺度で何を測っているのか」を確認する必要があります。
- 古い共依存論文にも読む価値がありますか?
-
あります。
特に共依存は概念そのものの変遷を理解することが重要なので、初期の定義や尺度開発論文には意味があります。
ただし、古い研究だけで現在の知見を判断するのではなく、その研究が後にどのように検証・批判・修正されたかを調べることが大切です。
「古い代表論文→後続研究→最近のレビューや概念分析」という順番で読むと理解しやすいでしょう。
- 共依存について信頼できる論文を1本だけ選ぶならどれですか?
-
目的によって選ぶ論文が変わるため、「この1本だけ読めば十分」という論文を決めることはおすすめできません。
定義を知りたいのか、尺度を知りたいのか、依存症者の家族について知りたいのか、対人関係との関連を知りたいのかによって適切な文献は異なります。
まずレビューや概念分析で全体像を確認し、その後に自分のテーマに合った原著論文や尺度開発論文へ進むと効率的です。
共依存の論文は比較して読むことが大切
共依存について学術論文を調べるときに最も大切なのは、一つの定義や研究結果だけを「共依存の正解」と考えないことです。
共依存研究では、依存・嗜癖問題を抱える人の家族、一般成人、大学生、恋愛関係など、さまざまな対象について研究されています。また、SF CDSやHCIなど異なる尺度が使われ、それぞれが少し異なる側面を測定しています。
論文を読むときは、
- 誰を対象にした研究か
- 共依存をどう定義しているか
- どの尺度を使っているか
- どのような研究方法か
- 研究結果からどこまで言えるか
- 研究者自身がどのような限界を挙げているか
を確認してみてください。
共依存という言葉を自分や誰かに当てはめるためではなく、人間関係について考えるための研究概念の一つとして丁寧に扱うことが重要です。
論文を読み比べることで、「共依存とは何か」という一つの答えを探すだけでなく、「研究者によって何が共依存として問題にされ、どのように測定・検討されてきたのか」が見えてきます。その違いを知ることが、信頼できる情報を選ぶための第一歩です。


