「自己肯定感と自己効力感は、何が違うのだろう」と疑問に感じたことはありませんか。どちらも「自分をどう捉えるか」に関係する言葉なので、同じような意味で使われることがあります。
ただし、両者が表しているものは同じではありません。大まかに分けると、自己肯定感は「できる・できないだけで自分の価値を決めず、自分を受け入れられる感覚」、自己効力感は「この状況なら必要な行動を自分はできそうだ、という見通し」に関係します。
たとえば、「試験には落ちたけれど、それだけで自分そのものを否定する必要はない」と考えられることと、「次は勉強方法を変えれば合格を目指せそうだ」と考えられることは、似ているようで少し違います。前者は自己肯定感、後者は自己効力感を考える手がかりになります。
この記事では、自己肯定感と自己効力感の違いを整理しながら、仕事や勉強、人間関係などの具体例を通して、両者をどう捉えればよいのかを解説します。
- 自己肯定感と自己効力感の基本的な意味
- 自己肯定感と自己効力感の違い
- 仕事・勉強・人間関係での具体例
- 両方を目的に応じて育てる考え方
自己肯定感と自己効力感の違い

自己肯定感と自己効力感の違いは、「自分という存在をどう受け止めるか」と「ある行動をできると思えるか」の違いとして整理すると理解しやすくなります。
| 比較する点 | 自己肯定感 | 自己効力感 |
|---|---|---|
| 主な対象 | 自分自身の受け止め方 | 特定の行動や課題 |
| 中心となる感覚 | この自分でいてよい | 自分ならできそう |
| 成功・失敗との関係 | 失敗しても自分全体を否定しない | 成功できそうかを予測する |
| 状況による変化 | 比較的広い自己評価として語られることが多い | 課題や分野ごとに異なりやすい |
| 例 | 苦手なことがあっても自分を受け入れる | この仕事なら最後までやれそうだと思う |
ここで重要なのは、どちらか一方が高ければ、心の状態がすべて説明できるわけではないということです。
自己肯定感はある程度保たれていても、新しい仕事には「自分にはできそうにない」と感じることがあります。反対に、仕事には強い自信があっても、失敗すると「こんな自分には価値がない」と自分全体を否定してしまうこともあります。
そのため、「自信があるかないか」だけで一括りにするより、「今問題になっているのは、自分の存在への評価なのか、それとも特定の行動への見通しなのか」と分けて考えることが大切です。
自己肯定感とは
自己肯定感は一般に、自分の長所だけでなく、欠点や苦手な部分も含めて、自分自身を受け止める感覚を表す言葉として使われています。
ただし、「自己肯定感」は日常会話、教育、心理に関する情報など幅広い場面で使われており、必ずしも一つの厳密な学術用語として統一された意味だけを持つわけではありません。
心理学では近い概念として「self-esteem(自尊感情)」などが研究されていますが、日本語で使われる「自己肯定感」と完全に同じものだと単純に置き換えるのは慎重に考える必要があります。
自己肯定感は万能感ではない
自己肯定感があるというと、「私は何でもできる」「私は誰よりも優れている」と考えることだと思われる場合があります。
しかし、自分を肯定的に受け止めることと、自分の能力を過大評価することは別です。
たとえば、
「私は人前で話すのが苦手だ。でも、苦手なところがある自分を必要以上に責めなくてもいい」
と考えることも、自分を受け止める一つの姿勢です。
苦手なところを認めずに「絶対にできる」と思い込む必要はありません。むしろ、うまくいかない部分も現実的に認めながら、それだけで自分全体の価値を決めないことが大切です。
自分を好きでなければならないわけではない
「自己肯定感を高めるには、自分を好きにならなければいけない」と考えると、かえって苦しくなることがあります。
自分に不満を感じる日もあれば、「もっとこうなりたい」と思うこともあるでしょう。そのような気持ちがあるからといって、ただちに自己肯定感が低いと決める必要はありません。
「今の自分には満足できない部分もある。でも、それを含めて自分の状態を見ていこう」と考えられることも、自分を否定しすぎないための一つの姿勢です。
自己肯定感について考えるときは、「自分を好きか嫌いか」の二択にしないことが大切です。「今の私は何を受け入れにくいのだろう」と具体的に見ていくと、自分への評価と実際の課題を分けやすくなります。
自己効力感とは
自己効力感(self-efficacy)は、心理学者アルバート・バンデューラによって提唱された概念で、ある状況で必要な行動を自分がうまく実行できるという見通しや信念を指します。
「自分には価値があるか」という自己評価そのものより、
「この課題に取り組めそうか」 「この行動を最後まで続けられそうか」
といった、行動に対する認識を考える概念です。
自己効力感は分野によって変わる
自己効力感は、すべての場面で同じ強さになるとは限りません。
たとえば、ある人が次のように感じることは十分に考えられます。
- 営業の仕事には自信がある
- 人前でのプレゼンには自信がない
- 料理なら新しいレシピにも挑戦できそう
- 英語の勉強は続けられる気がしない
この場合、「自己効力感が高い人」「低い人」と一言で分類するより、何に対する自己効力感なのかを見るほうが適切です。
「私は自己効力感が低い」と自分全体の性質のように考えるのではなく、「英語学習を続けられるという見通しが今は弱い」のように、対象を限定すると対策も考えやすくなります。
「できそう」は結果の保証ではない
自己効力感が高いからといって、必ず成功するわけではありません。
「自分ならできそう」という見通しがあっても、必要な知識が足りなかったり、環境が整っていなかったり、予想外の出来事が起きたりすれば、結果につながらない場合があります。
反対に、自信がなくても周囲からの支援や十分な準備によって、結果的にうまくいくこともあります。
自己効力感はあくまでも、行動できると自分が認識している程度を考えるための概念です。実際の能力や結果と完全に同じではありません。
具体例で見る両者の違い
自己肯定感と自己効力感は、日常生活の場面に当てはめると違いが見えやすくなります。ここでは仕事、勉強、人間関係の例を見てみましょう。
仕事で失敗した場合
仕事で大きなミスをしたとします。
自己肯定感に関係する反応としては、
「失敗はしたけれど、この失敗だけで自分という人間の価値がなくなるわけではない」
という受け止め方が考えられます。
一方、自己効力感に関係するのは、
「原因を確認して手順を変えれば、次回は同じ仕事をもっと適切に進められそうだ」
という見通しです。
前者は失敗と自分の存在価値を分けています。後者は次の行動を遂行できるかどうかに目を向けています。
逆に、
「こんなミスをする自分は何をやってもダメだ」
と考えているなら、自分全体への否定が強くなっています。
「もう一度やっても失敗する気がする」
という感覚であれば、その仕事に対する自己効力感が下がっている可能性を考えられます。
勉強が続かない場合
資格試験の勉強が予定どおり進まなかった場合も同様です。
「計画どおりできなかったけれど、自分を責め続ける必要はない」と考えることと、「1日30分なら続けられそうだから計画を組み直そう」と考えることには違いがあります。
前者は自分の受け止め方、後者は行動への見通しです。
勉強でつまずいたときに「自己肯定感を上げなければ」と考えるだけでは、問題が解決しないこともあります。
実際には、
- 教材の難易度が高すぎる
- 1日の目標量が多すぎる
- 勉強時間を確保できていない
- 何から手をつければよいか分からない
といった、行動レベルの問題かもしれません。
その場合は、自己評価を変えることより、課題を小さくしたり、学習環境を整えたりすることが役立つ可能性があります。
人間関係で意見を言えない場合
友人や職場の人に自分の意見を伝えられない場合も、「自信がない」で終わらせずに分けて考えてみましょう。
「自分の意見には価値がない」と感じているのであれば、自分自身への評価が影響している可能性があります。
一方、
「何を言えばよいかは分かっているけれど、この相手にはうまく説明できる気がしない」
という場合は、そのコミュニケーション場面での自己効力感に注目できます。
もちろん、現実の心の動きはここまで単純に分けられるとは限りません。両方が関係することもあります。
大切なのは、すぐに自分へラベルを貼るのではなく、「何を怖がっているのか」「何ならできそうなのか」と具体的に見ることです。
自己肯定感と自己効力感の関係
自己肯定感と自己効力感は別の概念ですが、現実の生活では互いに無関係ではありません。
行動してうまくいった経験が増えることで、「自分にもできる」という見通しが持ちやすくなることがあります。それによって、自分自身への見方も少しずつ変わることがあるでしょう。
反対に、失敗したときに自分全体を強く否定してしまうと、「どうせ次もできない」と感じやすくなり、次の行動への自己効力感にも影響する可能性があります。
ただし、ここでも「自己肯定感が上がれば必ず自己効力感も上がる」「自己効力感を高めれば必ず自分を好きになれる」といった単純な因果関係として考えないことが大切です。
自己肯定感はあるが自己効力感が低い例
新しい部署へ異動した人を考えてみましょう。
その人は、
「慣れていない仕事ができないのは当然だ。できないからといって自分を嫌う必要はない」
と思えているかもしれません。
一方で、
「でも、この仕事を一人でこなせるようになるイメージはまだ持てない」
と感じることもあります。
この場合、自分を受け入れる感覚は保たれていても、新しい業務への自己効力感はまだ高くないと考えられます。
自己効力感は高いが自己肯定感が不安定な例
反対の組み合わせも考えられます。
たとえば、仕事では成果を出せていて、
「この業務なら自分は誰よりもうまくできる」
と思っている人でも、一度大きな失敗をすると、
「結果を出せない自分には価値がない」
と強く落ち込むことがあります。
この場合、その仕事に対する自己効力感は高くても、自分の価値を成果と強く結びつけている可能性があります。
このように、両者を分けて考えることで、「自信を持とう」という曖昧な目標ではなく、自分に必要なものを具体的に考えられるようになります。
自信との違い

自己肯定感や自己効力感を調べていると、「自信」という言葉もよく出てきます。日常語としての自信は意味が広いため、どちらにも使われることがあります。
「私は自分に自信がない」と言う場合、それだけでは何を意味しているのか分かりません。
たとえば、
「人より劣っている気がして、自分を認められない」
という意味かもしれません。
あるいは、
「初めてのプレゼンを成功させられる気がしない」
という意味かもしれません。
前者と後者では、考えるべきことが変わります。
そのため、自信がないと感じたときには、まず次のように言葉を具体化してみるとよいでしょう。
- 自分そのものを否定しているのか
- 特定の能力に自信がないのか
- 未経験だから不安なのか
- 必要な技術や知識が不足しているのか
- 周囲からの評価を気にしているのか
- 失敗したあとの自分を受け入れられないのか
「自信」という一つの言葉を分解するだけでも、自分が今何につまずいているのかが見えやすくなります。
自己効力感を育てる考え方
自己効力感は「私はできる」と何度も言い聞かせれば高まる、という単純なものではありません。現実的に「できそうだ」と感じられる条件を整えることがポイントです。
課題を小さくする
難しい目標をいきなり達成しようとすると、「自分にはできない」という感覚が強くなることがあります。
たとえば、「毎日2時間勉強する」という目標が続かないのであれば、
「今日は教材を10分読む」 「問題を3問だけ解く」
というように、実行できる単位まで小さくします。
小さな行動でも、実際にできたことを確認できれば、次の行動への見通しを持ちやすくなります。
できた行動を具体的に見る
結果だけを見ると、自己効力感を育てる材料を見逃してしまうことがあります。
試験に不合格だったとしても、
「3か月勉強を継続できた」 「前回より正答率が上がった」 「苦手だった分野を一つ理解できた」
といった行動まで消えるわけではありません。
結果をごまかして「成功だった」と思い込む必要はありません。できなかった部分と、できた行動の両方を見ることが重要です。
必要な支援を使う
一人でできなければ自己効力感が低い、というわけでもありません。
人に教えてもらう、相談する、道具を使う、環境を変えることも、目標を達成するための行動です。
「一人で全部できること」を目標にするより、
「必要な支援を使いながら、自分で次の行動を選べる」
という見方のほうが現実的な場合もあります。
「できる気がしない」と感じたら、自分を励ます前に「何があれば、少しできそうになるだろう」と考えてみてください。知識、練習、時間、協力者など、行動を難しくしている条件が見つかることがあります。
自己肯定感を育てる考え方
自己肯定感について考える場合は、「もっと自分を褒めよう」と無理に前向きになるより、自分への厳しい評価に気づくことから始める方法があります。
失敗と自分自身を分ける
何かに失敗したとき、
「今回はうまくできなかった」
という事実と、
「私はダメな人間だ」
という評価は同じではありません。
失敗には原因があります。準備不足だったかもしれませんし、経験が足りなかったかもしれません。自分ではどうしようもない事情が重なった可能性もあります。
改善点を考えることは必要ですが、失敗の原因分析と自己否定を混ぜないことが大切です。
他人との比較だけで自分を評価しない
比較そのものを完全になくすことは難しいでしょう。
仕事、学校、SNSなどでは、他人の成果が目に入ります。比較することで、自分の現在地が分かることもあります。
ただし、
「あの人より成果が少ないから、自分には価値がない」
とまで考えると、成果の比較が自分全体への評価に広がっています。
「あの人は今、自分よりこの分野の経験がある」と事実を限定して捉えることで、自分自身への評価と切り離しやすくなります。
感情を否定しすぎない
自己肯定感を高めようとして、
「落ち込んではいけない」 「嫉妬してはいけない」 「もっと前向きに考えなくてはいけない」
と自分の感情まで否定すると、かえって苦しくなることがあります。
感情が生まれたことと、その感情に従って行動することは別です。
「今は悔しいと感じている」 「人と比べて焦っている」
と認識するだけでも、自分の状態を少し客観的に見やすくなります。

両方を高める必要はある?

自己肯定感と自己効力感について知ると、「両方とも高くしなければいけない」と思うかもしれません。
しかし、いつでも高い状態を目指す必要はありません。
初めて取り組む仕事に「できる自信がない」と感じることは不自然ではありませんし、大きな失敗のあとに一時的に落ち込むこともあります。
重要なのは、「低いか高いか」という評価そのものより、その感覚によって困っていることがあるのかを見ることです。
たとえば、
「できない気がして、新しいことをすべて避けてしまう」 「一度失敗すると、自分には価値がないと長く責め続けてしまう」
のであれば、その部分について考えてみる価値があります。
一方で、
「初めてだから不安だけれど、準備しながらやってみよう」
と思えているのであれば、不安があること自体を問題にする必要はないでしょう。
どちらに注目するかの見分け方
自己肯定感と自己効力感のどちらについて考えればよいか迷う場合は、「自分が今、何を問題にしているのか」を確認してみましょう。
次のように整理できます。
「失敗した自分には価値がない」と感じる → 自分そのものへの評価に目を向ける
「この仕事を最後までできる気がしない」と感じる → その仕事に対する自己効力感に目を向ける
「できない自分はダメだし、次も絶対できない」と感じる → 両方が関係している可能性を考える
「今はできないが、練習すればできそう」と感じる → 現在の能力評価と自己効力感を分けて考えられている状態
特に意識したいのは、「できない」と「価値がない」を結びつけないことです。
人は、知らないことを最初からできるわけではありません。経験不足や技術不足は改善できる課題ですが、それは人間としての価値を評価する材料とは別のものです。
また、「やれば絶対できる」と考える必要もありません。
現実には難しいこともあります。その場合でも、
「今回は難しかった」 「自分一人では難しい」 「別の方法が必要だ」
と課題を具体化すれば、自分全体を否定せずに次の選択を考えることができます。
自分を理解するための3つの問い
自己肯定感や自己効力感という言葉を覚えること以上に、自分の実際の気持ちを丁寧に見ることが役立ちます。
気持ちが揺れたときは、次の3つを順番に考えてみてください。
- 何が起きたのか
「プレゼンで質問に答えられなかった」など、まず評価を入れずに出来事を整理します。 - 自分をどう評価しているのか
「こんなこともできない自分は恥ずかしい」と考えているなら、自分への評価が混ざっています。 - 次に何ならできそうなのか
「想定質問を5つ準備する」「先輩に練習を見てもらう」など、実行できる行動を考えます。
この3つを分けると、「失敗した」という出来事から「私はダメだ」と一気に結論づけにくくなります。同時に、漠然と「自信がない」と感じていた状態から、次にできる具体的な行動を探しやすくなります。
私たちカラットセラピーでも、答えを外から決めつけるのではなく、「自分は今どう感じているのか」「本当はどうしたいのか」を見つめることを大切にしています。
自己肯定感や自己効力感について学ぶことも、自分を評価するためではなく、今の自分を理解するために使うことが大切です。
「自己肯定感が低い自分を直さなければ」と考えるより、「私は今、どんなときに自分を否定しやすいのだろう」と問いを変えてみてください。自分を採点する言葉から、自分を理解する言葉へ置き換えることが第一歩になります。
自己肯定感と自己効力感のよくある質問
- 自己肯定感と自己効力感は同じですか?
-
同じではありません。
自己肯定感は、自分の長所や短所を含め、自分自身をどのように受け止めているかに関係する言葉です。一方、自己効力感は、特定の状況で必要な行動を「自分ならできそうだ」と感じる見通しに関係します。
そのため、自分を受け入れられていても特定の仕事には自信がない人もいれば、仕事には強い自信があっても自分自身には厳しい評価をしている人もいます。
- 自己肯定感が高ければ自己効力感も高くなりますか?
-
必ずしもそうとは限りません。
自分を否定しすぎないことが、新しい行動へ取り組みやすくなる要因の一つになる可能性はあります。しかし、自己効力感は課題や経験によっても変わります。
たとえば、自分自身を受け入れられている人でも、初めて運転する、大勢の前で話す、未経験の仕事を担当するといった場面では「できる気がしない」と感じることがあります。
両者には関連しうる部分がありますが、同じものとして扱わないほうが理解しやすいでしょう。
- 自己効力感が低いのは能力が低いからですか?
-
自己効力感の低さと実際の能力は同じではありません。
高い能力を持っていても自分では「できない」と考える人がいる一方、実際には十分な準備ができていなくても「できる」と考える人もいます。
自己効力感について考えるときは、感覚だけでなく、経験、知識、練習量、環境、周囲の支援なども一緒に確認することが大切です。
- 自己肯定感は高いほどよいのでしょうか?
-
単純に「高ければ高いほどよい」と考える必要はありません。
大切なのは、自分の問題点を見ないことではなく、失敗や欠点だけを根拠に自分全体を否定しすぎないことです。
改善したほうがよい部分は現実的に認めながら、「できなかったこと」と「自分という存在」を分けて考えられる状態を目指すほうが実生活では役立ちやすいでしょう。
- 自己肯定感と自己効力感はどうすれば高められますか?
-
両者では考え方が少し異なります。
自己肯定感については、自分への極端な否定に気づき、失敗や能力と自分全体の価値を分けることが一つの手がかりになります。
自己効力感については、実行可能な小さな目標を設定し、実際にできた経験を積みながら、「何ならできそうか」を具体化することが役立ちます。
いずれも、無理に「私は素晴らしい」「絶対できる」と思い込む必要はありません。今の自分をできるだけ現実的に理解することから始めてみてください。
まとめ
自己肯定感と自己効力感は似た言葉ですが、注目しているものが異なります。
自己肯定感は、できることやできないことも含め、自分自身をどのように受け止めるかに関係する感覚です。
一方、自己効力感は、特定の状況で必要な行動を自分が実行できそうだという見通しです。
仕事で失敗したときに「失敗しても自分そのものの価値がなくなるわけではない」と捉えることと、「次は方法を変えればできそうだ」と考えることは、それぞれ違う視点を表しています。
どちらか一つの尺度だけで、人の心を説明することはできません。
「自己肯定感が低いからダメ」「自己効力感を高めなければならない」と自分を評価するために使うのではなく、
「私は自分自身を否定しているのだろうか」 「それとも、この行動をできると思えていないのだろうか」
と整理するために使ってみてください。
自分について知ることは、自分を採点することではありません。今どのように感じていて、どのような一歩なら選べそうなのかを具体的にしていくことが、自分を理解する手がかりになります。


