「ヴィスコンティ・タロットは、今使われているタロットの原型なの?」「絵柄が現代のカードと違うけれど、同じように占えるの?」と気になっている方もいるでしょう。
ヴィスコンティ・タロットは、15世紀の北イタリアで制作された、現存する最古級のタロットカード群です。ただし、最初から現在のような「78枚の占い用カード」として作られたものと考えると、その歴史を正確につかみにくくなります。
当時のカードは宮廷文化の中で用いられたゲーム用品であると同時に、金や銀を使って豪華に仕上げられた美術品でもありました。現在私たちが親しんでいる占術的・神秘思想的な意味づけは、そこから何世紀も後に発達したものです。
この記事では、ヴィスコンティ・タロットの成立した時代や代表的なデッキ、カードの構成、現代のタロットとの違いを整理します。歴史的に確認できることと、後世に加えられた解釈を分けながら見ていきましょう。
- ヴィスコンティ・タロットが生まれた時代と背景
- 現存する代表的なヴィスコンティ系デッキの違い
- カードの構成や図像に見られる特徴
- 現代のタロットと比較するときの注意点
ヴィスコンティ・タロットとは

ヴィスコンティ・タロットとは、15世紀のミラノ周辺で、ヴィスコンティ家やスフォルツァ家と関係して制作された初期タロットカード群を指す呼び方です。
「ヴィスコンティ・タロット」という一つの完成された商品が存在したわけではありません。現在まで残っている複数のカード群をまとめて呼ぶ場合もあれば、その中の特定のデッキを指して使われる場合もあります。
なかでもよく知られているのが、ヴィスコンティ=スフォルツァ・タロットです。現在はニューヨークのモルガン・ライブラリー&ミュージアム、イタリア・ベルガモのアカデミア・カッラーラ、個人コレクションなどに分かれて保存されています。
モルガン・ライブラリー&ミュージアムは同館所蔵分を15世紀ミラノ、1450~1480年頃の作品として紹介し、当時のタロットが貴族の楽しむカードゲームとして使われていたと説明しています。
ここで大切なのは、現代の占い用タロットをそのまま15世紀へさかのぼらせないことです。
現在では「大アルカナ」「小アルカナ」「カードが示す心理」「未来を読む」といった言葉とタロットが強く結びついています。しかし、そうした体系のすべてがヴィスコンティ・タロット制作当時から存在したわけではありません。
ヴィスコンティ・タロットは、タロットという文化がどのように始まり、後世にどのような意味を与えられていったのかを考えるための重要な資料なのです。
15世紀の宮廷文化から誕生
ヴィスコンティ系のカードが制作された15世紀の北イタリアでは、都市国家や宮廷を中心に芸術や学問が盛んになっていました。タロットも、そうしたルネサンス期の文化の中から生まれています。
ヴィスコンティ家は中世末からルネサンス期にかけてミラノを支配した有力な一族です。最後のヴィスコンティ家のミラノ公フィリッポ・マリア・ヴィスコンティの娘ビアンカ・マリア・ヴィスコンティは、1441年にフランチェスコ・スフォルツァと結婚しました。
その後、スフォルツァ家がミラノ公国を支配するようになります。
現存するカードにはヴィスコンティ家やスフォルツァ家を思わせる紋章的モチーフが見られ、その制作と両家との深い関係が指摘されています。
現在よく知られるヴィスコンティ=スフォルツァのカードは、厚い台紙に人物を描き、金地などを使った非常に豪華なものです。大量生産された日用品というより、宮廷のために制作された特別な品だったことがうかがえます。
制作には画家ボニファーチョ・ベンボやその工房が関わったとする見方が広く知られています。一方、個々のカードの作者については異なる帰属説もあり、後に追加または制作されたと考えられるカードもあります。
つまり、「誰が何年に78枚全部を描いた」と単純に説明できる資料ではありません。残されたカードや紋章、画風などから、現在も研究が続けられている歴史資料です。
最初は占いではなくゲーム
ヴィスコンティ・タロットを理解するとき、特に押さえておきたいのがその用途です。
15世紀のタロットは、基本的にはカードゲームのために作られたものと考えられています。
通常の4種類のスートを持つカードに、他のカードより強い役割を持つ特別な絵札が加えられました。初期にはこうしたカードやゲームが「trionfi(トリオンフィ、勝利・凱旋などの意)」と呼ばれていました。
現在の「タロット」という名称や、占い・神秘思想との強い結びつきは後の時代に形成されていきます。
少なくとも、ヴィスコンティ家の人々が現在のタロット占いと同じ方法で「恋愛の未来」や「相手の気持ち」を占っていたと考えられる歴史的根拠はありません。

代表的な3つのデッキ
ヴィスコンティ系の初期タロットには複数の現存カード群があります。その中でも歴史を知るうえで重要なのが、ヴィスコンティ・ディ・モドローネ、ヴィスコンティ=スフォルツァ、ブレラ=ブランビッラです。
ヴィスコンティ・ディ・モドローネ
ヴィスコンティ・ディ・モドローネ・タロットは、「ケーリー=イェール・タロット」と呼ばれることもあります。現在はイェール大学バイネッキ稀覯本・手稿図書館のコレクションとして知られています。
同館はこのカード群を1428~1447年頃の手描き作品として紹介しており、67枚が残されています。
このデッキが特に興味深いのは、後の一般的なタロットとは構成が異なる点です。
通常のキング、クイーンなどに加えて女性のナイトや女性のヴァレットに相当する人物札があり、さらに「信仰」「希望」「慈愛」という三つの対神徳を表すカードも含まれています。
現代の78枚構成だけを基準にすると「余分なカード」に見えるかもしれません。しかし、初期タロットの構成がまだ一つの形に固定されていなかった可能性を考えるうえでは、とても重要な特徴です。
ヴィスコンティ=スフォルツァ
最も有名なのがヴィスコンティ=スフォルツァ・タロットです。
「ピアポント・モルガン=ベルガモ」「コッレオーニ=バリオーニ」などの名称で呼ばれることもあります。現在確認されているカードは複数の所有者に分かれており、モルガン・ライブラリー&ミュージアムが35枚、アカデミア・カッラーラが26枚、ベルガモの個人コレクションが13枚を所蔵しています。
合計74枚が現存するため、15世紀のタロットとしては特にまとまった状態で残っているデッキです。
このカード群では、後のタロットにも受け継がれる「皇帝」「女帝」「運命の輪」「死」「太陽」「審判」「愚者」などに対応する図像を見ることができます。
そのため、現代のタロットを知っている人なら「このカードは現在の○○に近い」と比較しながら楽しめるでしょう。
ただし、当時のカードには現代のデッキのようなカード番号や名称が印刷されていません。現在使われている名称は、図像や後世のタロットとの比較をもとに整理されたものです。
ブレラ=ブランビッラ
ブレラ=ブランビッラ・タロットも、ヴィスコンティやスフォルツァの宮廷文化と関係する重要なカード群です。
現在はミラノのブレラ絵画館に所蔵されているカードを中心に知られています。
こちらも金地を使った豪華な装飾が特徴で、初期タロットが単なるゲーム用カードではなく、権力者の注文によって制作される工芸・美術作品でもあったことを伝えてくれます。
このように「ヴィスコンティ・タロット」と一括りにされるカードでも、制作年代や構成、現存枚数は同じではありません。
| 呼び方 | 主な特徴 |
|---|---|
| ヴィスコンティ・ディ・モドローネ | 女性のナイトやヴァレット、対神徳など独特のカードを含む |
| ヴィスコンティ=スフォルツァ | 74枚が現存し、初期タロットとして特にまとまっている |
| ブレラ=ブランビッラ | ミラノ宮廷文化を伝える豪華な装飾のカード群 |
「最古のタロットはこの一組」と決めて覚えるより、15世紀の北イタリアで複数の初期デッキが制作され、それぞれ違いを持っていたと理解するほうが実態に近いでしょう。
カードの構成と図像の特徴

ヴィスコンティ・タロットには、現代のタロットにつながる要素と、現在とは異なる要素の両方があります。構成を比較すると、その連続性と違いが見えてきます。
4種類のスート
ヴィスコンティ=スフォルツァでは、数札と人物札が次の4スートに分かれています。
- カップ
- ソード
- ステイブ、バトン
- コイン
これは現代のマルセイユ版タロットなどに見られる基本構成と近いものです。
それぞれのスートには数札に加えて、キング、クイーン、ナイト、ペイジに対応する人物札があります。
こうした56枚に、21枚の切り札と愚者を合わせると78枚になります。現代タロットでいう「22枚の大アルカナ+56枚の小アルカナ」に近い構成です。
ただし、「大アルカナ」「小アルカナ」という区分を15世紀当時の人々が現在と同じ意味で用いていたわけではありません。
歴史的には、通常のスートに特別な切り札群を加えたゲームとして見ることが重要です。
数札は場面を描いていない
現代のタロット、とりわけ1909年に刊行されたライダー=ウェイト=スミス版以降のデッキに慣れている人がヴィスコンティ系カードを見ると、数札の違いが目につくでしょう。
たとえば「カップの5」であれば、基本的には五つのカップそのものが装飾的に描かれています。
ライダー=ウェイト=スミス版のように、人物の姿や状況を一枚の場面として描き、そこから意味を読み取る形式ではありません。
そのため、現代のカード解釈に慣れている場合、ヴィスコンティの数札は「意味が読み取りにくい」と感じるかもしれません。
しかしこれは欠点ではなく、カードが作られた時代と用途の違いによるものです。
金地を使った豪華な装飾
ヴィスコンティ系カードの大きな魅力の一つが、その美術性です。
現存するカードには金や銀を使った装飾、細かな模様、豪華な衣装が見られます。現代の印刷されたカードとは異なり、一枚一枚が手作業による作品として制作されました。
人物の衣装や紋章的なモチーフを見ることで、15世紀ミラノの宮廷文化を感じられるのも特徴です。
そのためヴィスコンティ・タロットは、占いの歴史だけでなく、ルネサンス美術や服飾、社会文化という視点からも研究対象になっています。
図像には当時の価値観が表れる
切り札には、皇帝や教皇、愛、運命の輪、死、審判など、当時のヨーロッパ社会で理解されていた宗教的・道徳的・社会的なイメージが登場します。
たとえば「運命の輪」はタロットのためだけに発明された図像ではありません。人の栄枯盛衰や変転する運命を表現するものとして、中世から広く知られていたモチーフです。
「死」や「最後の審判」なども、キリスト教文化の中で理解されていたイメージと深く関係しています。
つまり、一枚一枚を現代の占いキーワードだけで見ると、図像がもともと持っていた文化的背景を見落としてしまうことがあります。
ヴィスコンティ・タロットを見るときは、最初から「このカードは恋愛では何を意味するか」と考えるだけでなく、「15世紀の人にはこの人物や象徴がどう見えていたのだろう」と眺めてみてください。カードの印象がぐっと立体的になります。
現代のタロットとの違い
ヴィスコンティ・タロットと現代のタロットは同じ歴史の流れにありますが、制作目的も図像も解釈体系も同一ではありません。
代表的な違いを整理すると次のようになります。
| 比較 | ヴィスコンティ系 | 現代の一般的なタロット |
|---|---|---|
| 主な成立時期 | 15世紀 | 近代以降に多様なデッキが発展 |
| 当初の主用途 | カードゲーム | 占い、自己探求、創作など多様 |
| 制作 | 手描きの豪華な宮廷用作品 | 印刷による市販品が中心 |
| 枚数 | デッキごとに差がある | 78枚構成が一般的 |
| 切り札の番号 | 初期カードでは印刷されていない | 通常は番号がある |
| 数札 | スート記号中心 | デッキによっては場面絵がある |
| 占術的意味 | 当時の体系は確認できない | 後世に体系化された意味を使用 |
| 神秘思想との関係 | 制作当初の主要目的ではない | デッキにより占星術などを採用 |
78枚という形も絶対ではない
現在「タロットは78枚」と説明されることが多いのは、21枚の切り札と愚者、56枚の4スートを合わせた構成が広く定着しているためです。
ヴィスコンティ=スフォルツァも、その基本形とよく対応しています。
一方で、先ほど触れたヴィスコンティ・ディ・モドローネには通常とは異なる人物札や徳を表すカードがあります。
これは、初期の段階からすべてのタロットが完全に同じ構成だったわけではないことを示す重要な例です。
歴史を見るとき、「現代の標準から外れているから例外」と考えるより、まだ形式が固定されていく途中だった可能性を考えるほうが自然です。
カード番号も後世ほど固定されていない
現代では「愚者は0」「魔術師は1」「女帝は3」「死神は13」というように、番号とカードを組み合わせて覚えることが一般的です。
しかし、15世紀のヴィスコンティ系の切り札そのものには、現在のような番号や名称が記されていません。
初期タロットでは地域によって切り札の順序にも違いがありました。
そのため、「この番号には古代から○○という秘密の意味が込められていた」といった説明を、そのままヴィスコンティ・タロットに当てはめるのは慎重であるべきでしょう。
オカルト体系は後から加わった
現代のタロットでは、占星術、カバラ、四元素などとの対応関係を用いることがあります。
こうした体系はタロットを読む一つの方法として現在も広く利用されていますが、ヴィスコンティ・タロットが制作された15世紀当時から、現在と同じ対応関係が組み込まれていたと考えることはできません。
タロットと占術やオカルト思想との本格的な結びつきは、カード誕生から数世紀を経た後に発展しました。
ここを区別すると、「歴史的なタロット」と「現在実践されているタロット占い」の両方を、無理なく理解できるようになります。

占いには使えるのか
ヴィスコンティ・タロットの復刻版は現在も販売されており、現代の読み方を用いて占いに使うこと自体は可能です。ただし、それは15世紀当時の使い方をそのまま再現しているわけではありません。
たとえば、現代のタロット解説書にある「カップは感情」「ソードは思考や葛藤」といった考え方をヴィスコンティ系の復刻デッキに適用することもできます。
大アルカナに相当するカードについても、現代の一般的な意味を参考に読むことはできます。
これは間違いというより、歴史的なカードに後世の占術体系を組み合わせた現代的な実践と考えると分かりやすいでしょう。
大切なのは、「15世紀からずっとこの意味で占われてきた」と説明しないことです。
絵から感じたことを言葉にする
カラットセラピーでは、カードを「未来を一方的に決めるもの」としてではなく、自分の気持ちに気づくためのきっかけとして扱うことを大切にしています。
ヴィスコンティ・タロットも同じように、図像をじっくり見ながら、
- 最初に目に入ったものは何か
- 人物の表情や姿勢をどう感じるか
- 明るい、重い、静かなど、どんな印象を受けるか
- 今の自分と重なる部分はあるか
- このカードを見て何を考えたか
と問いかけてみると、自分の状態を振り返る材料になります。
そこで出てきた答えは、カードがあなたの未来を断定した結果ではありません。カードという刺激をきっかけに、あなた自身が何を感じたかを言葉にしたものです。
この区別は、タロットと安心して付き合うためにも大切です。
「カードの正しい意味を当てなければ」と考えすぎると、タロットが難しく感じられることがあります。歴史や基本的な意味を学びつつ、自分が実際に何を感じたのかも丁寧に観察すると、カードとの向き合い方が広がります。

歴史を知ると見え方が変わる

ヴィスコンティ・タロットを学ぶ意味は、「一番古いカードだから特別」ということだけではありません。現在のタロットを絶対的な一つの体系として見なくなることにも価値があります。
たとえば、ライダー=ウェイト=スミス版に慣れていると、「大アルカナ22枚と小アルカナ56枚」「すべてのカードに一定の意味がある」という形が最初から存在していたように感じられます。
しかし初期タロットを見ると、そうではないことが分かります。
カードの構成には揺れがあり、切り札には番号がなく、数札には現代のような場面絵がありません。
その後、長い年月の中でデザインや順番、名称、象徴体系、占い方が少しずつ変化してきました。
これはタロットの価値を下げる話ではありません。
むしろ、さまざまな時代の人々がカードに新しい意味を見いだしながら文化を発展させてきたことこそ、タロットの面白さの一つだと私は考えます。
歴史と解釈を分けて学ぶ
タロットを深く学びたいときは、情報を次の二つに分けてみると整理しやすくなります。
一つは、制作年代、所蔵先、図像、カードの構成といった歴史資料によって確認できる情報です。
もう一つは、「このカードはどんな心理を表すか」「恋愛ではどう読むか」といった後世の占術的な解釈です。
後者にも、タロットを実際に活用するうえでの意味があります。ただし、それをそのまま15世紀の歴史的事実と考えないことが大切です。
「歴史的には何が分かっているのか」と「私はこのカードをどう読むのか」を分けられるようになると、タロットについてのさまざまな情報にも振り回されにくくなります。
タロットそのものだけでなく、カードを通じて自分の気持ちを見つめる方法に興味がある方は、カラットセラピーの無料メール講座で学びを広げてみるのも一つの方法です。知識を暗記するだけではなく、自分に問いかけるためにカードをどう使えるかという視点も大切にしてみてください。
ヴィスコンティ・タロットのよくある質問
- ヴィスコンティ・タロットは世界最古のタロットですか?
-
ヴィスコンティ系のカードは、現存する最古級のタロットとして知られています。ただし、「現在の78枚タロットと完全に同じものの世界最古の一組」と単純に表現するのは正確ではありません。
15世紀前半から中頃には北イタリアで複数のカードが制作されており、現存するヴィスコンティ系デッキにも構成の違いがあります。
そのため、「初期タロットの姿を伝える最も重要な現存資料の一つ」と考えるとよいでしょう。
- ヴィスコンティ・タロットは78枚ですか?
-
ヴィスコンティ=スフォルツァでは、21枚の切り札、愚者、4スート56枚という78枚構成が想定されていますが、すべてが現在まで残っているわけではありません。
一方、ヴィスコンティ・ディ・モドローネには、後の一般的な78枚構成にはない女性の人物札や三つの対神徳などが含まれます。
つまり、ヴィスコンティ系カードすべてを「必ず78枚」と考えることはできません。
- 現代のタロットと同じ意味で読めますか?
-
現代のタロット占いの体系を使って読むことはできます。
ただし、その意味が15世紀当時から使われていたということではありません。
たとえば現在「死」のカードを変化や終わりと始まりの象徴として読む場合がありますが、それは後世に形成された占術的解釈です。カードの歴史的な図像と、現代のリーディング上の意味を分けて理解するとよいでしょう。
- ライダー版との一番大きな違いは何ですか?
-
大きな違いの一つは、カードが制作された目的と数札の描き方です。
ヴィスコンティ系カードは15世紀の宮廷ゲームとして制作され、数札はカップやソードなどのスート記号を中心に描いています。
一方、ライダー=ウェイト=スミス版では数札にも人物や状況を描いた場面絵があり、カードの意味をイメージから読み取りやすく設計されています。
また、ライダー=ウェイト=スミス版には近代の神秘思想の影響がありますが、それをそのまま15世紀のヴィスコンティ系カードにさかのぼらせることはできません。
- 初心者でもヴィスコンティ・タロットを使えますか?
-
使うことはできますが、初めてタロットを学ぶ方には少し難しく感じられる可能性があります。
特に数札は現代のライダー=ウェイト=スミス版のような場面絵になっていないため、絵だけから意味を連想するには一定の知識が必要です。
一方、ルネサンス美術が好きな方、タロットの歴史そのものに興味がある方にとっては、とても魅力的なデッキです。
初心者だから避けなければならないわけではありません。「占いの意味を覚えるためのカード」としてだけでなく、「タロットの歴史を感じるカード」として楽しむのもよいでしょう。
まとめ
ヴィスコンティ・タロットは、15世紀の北イタリア、とりわけミラノの宮廷文化と深く関係して制作された、現存する最古級のタロットカード群です。
ヴィスコンティ・ディ・モドローネ、ヴィスコンティ=スフォルツァ、ブレラ=ブランビッラなど複数のカード群があり、その構成も完全に同じではありません。
現代のタロットとつながる皇帝、運命の輪、死、愚者などの図像が見られる一方で、当時は主にカードゲームとして用いられ、現在のような占術体系やオカルト的対応関係が最初から備わっていたわけではありません。
だからこそヴィスコンティ・タロットを見るときは、後世の意味をすべて15世紀へ投影するのではなく、歴史的に確認できる事実と、後から発展した解釈を区別することが大切です。
そのうえで現代のタロットとして使うのであれば、「このカードが未来を決める」と考える必要はありません。
カードを見て何を感じたのか。今の自分に何が重なったのか。そして、自分はこれからどうしたいのか。
タロットの長い歴史を知ることは、決められた意味を覚えるだけではなく、カードと自分との関わり方をあらためて考えるきっかけにもなるでしょう。


