「自分の気持ちをうまく説明できない」「得意なことを聞いても、わからないと答える」。そんな子どもの様子を見て、「もう少し自分のことを理解できるようになってほしい」と感じることがあるかもしれません。
子どもの自己理解は、大人と同じように自分を分析できることを意味するわけではありません。うれしい、悔しい、嫌だ、やってみたいといった気持ちに少しずつ気づき、「こういうときはやりやすい」「これは少し苦手」と自分なりに表せるようになることも、大切な自己理解です。
そのために大人ができるのは、「あなたはこういう子」と答えを与えることではありません。子ども自身が感じたこと、経験したこと、できたことに気づき、自分の言葉で確かめられるよう支えることが大切です。
この記事では、子どもの自己理解を育てたいときに家庭で意識したい関わり方を、年齢や発達による違いにも触れながら紹介します。
- 子どもの自己理解とは何を意味するのか
- 年齢や発達に合わせて大人がどう関わればよいか
- 気持ちや得意・不得意を言葉にする具体的な声かけ
- 自己理解を育てるときに避けたい決めつけや注意点
子どもの自己理解とは
子どもの自己理解とは、自分の性格を説明できることだけではありません。自分の内側で起きていることや、経験から分かってきた自分の特徴に気づくことを含みます。
たとえば、次のようなことです。
- 今、自分がどんな気持ちなのか
- 何が好きで、何が嫌なのか
- 何をしていると楽しいのか
- どんなことが得意なのか
- 何を難しいと感じるのか
- どんな環境なら取り組みやすいのか
- 困ったとき、どんな助けがあるとうれしいのか
- 本当はどうしたいと思っているのか
自己理解というと、「私は明るい性格です」「僕は勉強が得意です」のように、自分を説明することを想像するかもしれません。
しかし、子どもの場合はもっと小さな気づきから始まります。
「大勢の前だとドキドキする」「工作をしていると時間を忘れる」「一人で考えてから話したい」「急かされると分からなくなる」といった気づきも、自分を理解する大切な材料です。
自己評価とは少し違う
自己理解と自己評価は分けて考えると分かりやすくなります。
自己評価は、「私はできる」「僕は苦手だ」と自分を評価する方向に傾きやすいものです。一方、自己理解では、「どんなときにできるのか」「何が難しく感じられるのか」まで丁寧に見ていきます。
たとえば、
「私は算数が苦手」
で終わるのではなく、
「文章題は迷いやすいけれど、図にすると考えやすい」
と分かれば、単なる評価ではなく、自分に合った方法を見つける材料になります。
自己理解の目的は、自分に点数をつけることではなく、自分との付き合い方を少しずつ知ることと考えるとよいでしょう。
自己理解は少しずつ育つ
子どもが自分を理解する力は、ある日突然完成するものではありません。言葉、経験、人との関わりが増えるにつれて、少しずつ細かくなっていきます。
小さな子どもは、不快な感覚があっても、それが「悔しい」「寂しい」「心配」といった気持ちであることをまだ十分に言葉にできない場合があります。
最初は泣く、怒る、黙る、離れるといった行動として表れることもあります。
成長すると、「嫌だった」「恥ずかしかった」「失敗するのが怖かった」など、少しずつ自分の状態を説明できるようになっていきます。ただし、言葉の発達や物事の捉え方には大きな個人差があります。
文部科学省の幼児教育に関する資料でも、幼児期には、自分が感じたことや経験したことを自分なりの言葉で表現し、人とのやり取りの中で言葉を育てていくことが重視されています。
また、発達の目安は「この年齢なら必ずこれができなければならない」という判定表ではありません。CDCも発達のマイルストーンについて、子どもの発達を知る手がかりであり、標準化された発達スクリーニングそのものではないと説明しています。
そのため、自己理解を育てるときも、同じ年齢の子と比べて急がせるより、その子が今表現できる方法から始めることが大切です。
年齢に合わせた関わり方
同じ質問でも、年齢によって答えやすさは変わります。ここでは年齢を厳密な基準にするのではなく、関わり方を考える大まかな目安として紹介します。
幼児期前半は言葉を添える
まだ気持ちを細かく説明することが難しい時期には、大人が短い言葉を添えることが助けになります。
たとえば、おもちゃを取られて泣いている子に、
「悔しかったのかな」 「まだ使いたかった?」
と尋ねます。
ここで大切なのは、「悔しいんだね」と完全に決めつけないことです。
実際には、驚いたのかもしれませんし、悲しかったのかもしれません。大人の言葉は正解を教えるものではなく、子どもが自分の感覚を確かめるための候補として差し出します。
「悲しい?悔しい?それとも違う?」と選べるようにすると、言葉がまだ少ない子にも答えやすくなります。
幼児期後半は理由を少し聞く
自分の経験を話せるようになってきたら、「どうだった?」だけでなく、具体的な質問を加えてみます。
たとえば、
「今日、楽しかったことは何だった?」 「一番難しかったのはどこ?」 「もう一回やるなら何をやりたい?」 「一人でやるのと、一緒にやるのはどっちが好き?」
といった質問です。
こうした問いを重ねると、「自分は何を楽しいと感じるのか」「どんな場面で困るのか」を振り返りやすくなります。
ただし、毎日の出来事を詳しく報告させる必要はありません。「わからない」「忘れた」という答えの日があっても問題ありません。
小学校低学年は条件を探す
学校生活が始まると、勉強、運動、友達関係など、子ども自身が「できる・できない」を意識する場面が増えてきます。
この時期は、
「算数が苦手」 「発表ができない」
といった大きなくくりを、そのまま性格や能力の結論にしないことが大切です。
「どんな問題なら解きやすかった?」 「発表のどこが一番緊張する?」 「家で話すのと教室で話すのは違う?」
と具体的に聞いてみましょう。
すると、「計算はできるけれど文章題で迷う」「答えは分かるけれどみんなに見られると緊張する」といった違いが見えてくることがあります。
小学校高学年以降は本人の考えを尊重する
成長すると、友達との比較や周囲からどう見られるかを以前より強く意識することがあります。
大人が「あなたはこういうタイプ」と説明するより、
「自分ではどう思う?」 「前と比べて変わったと思うところはある?」 「今は何を大事にしたい?」
と本人の捉え方を聞くことが重要になります。
また、年齢が上がるほど、何でも親に話したいとは限りません。
自己理解を育てることと、すべてを大人に説明させることは別です。話したくないことを無理に聞き出さず、本人が考えるための余白も残しておきましょう。
年齢だけで「これくらい説明できるはず」と考えず、その子が今使える言葉や表現方法に合わせてみてください。「分からない」という答えも、その時点での大切な答えとして受け止めることができます。
気持ちを言葉にする方法
自己理解の土台の一つが、「自分は今どう感じているのか」に気づくことです。気持ちの名前を当てることより、感じていることを安心して表せる関係をつくることから始めます。
行動の奥にある気持ちを見る
子どもが怒ったり、泣いたり、黙り込んだりすると、どうしても行動そのものに目が向きます。
たとえば、
「どうして怒るの?」 「泣かないの」 「ちゃんと話して」
と言いたくなることもあるでしょう。
その前に、
「思っていたのと違った?」 「嫌なことがあった?」 「今は話したくない?」
と聞いてみると、子どもが自分の状態に目を向けるきっかけになります。
行動を何でも許す必要はありません。人をたたくなど止める必要がある行動は止めながらも、気持ちそのものまで否定しないことがポイントです。
「たたくのは止めよう。でも、すごく腹が立ったんだね」
というように、行動と感情を分けて扱うことができます。
感情の言葉を増やす
「うれしい」「悲しい」「怒っている」以外にも、子どもの経験に合わせて少しずつ言葉を増やしてみましょう。
たとえば、
- 悔しい
- 寂しい
- 恥ずかしい
- 不安
- がっかり
- ほっとした
- わくわくする
- 退屈
- 疲れた
- 緊張した
- うらやましい
- 迷っている
などがあります。
ただし、言葉を覚えさせることが目的ではありません。
「今の気持ちは、この中ならどれに近いかな」と使える選択肢が増えることで、自分の状態を理解しやすくなることが大切です。
大人自身の気持ちも言葉にする
子どもにだけ「気持ちを話して」と求めるより、大人が自分の感情を穏やかに言葉にすることも参考になります。
「予定どおりにいかなくて、ちょっと困ったな」 「間に合ってほっとした」 「今日は少し疲れているから、静かに休みたいな」
というように、自分の状態と必要な行動を言葉にします。
「怒っているのはあなたのせい」と責任を負わせるのではなく、自分の気持ちを自分のものとして表現する姿を見せることがポイントです。
得意と苦手を見つける方法
子どもの自己理解では、「何が得意か」を決めることより、どんな条件なら力を発揮しやすいかを一緒に見つける視点が役立ちます。
性格ではなく事実を伝える
大人は子どもを励ますつもりで、
「あなたは優しい子だね」 「本当に努力家だね」 「絵が得意だね」
と言うことがあります。
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。ただ、自己理解につなげたいなら、もう少し具体的な事実も加えてみましょう。
たとえば、
「友達が困っているのを見て、自分から声をかけていたね」 「難しいところを三回やり直していたね」 「細かいところまで色を変えて描いていたね」
という伝え方です。
具体的な事実があると、子ども自身が「自分にはこんなところがあるのかもしれない」と考えられます。
大人から与えられた評価だけではなく、本人が自分で特徴を見つける材料になります。
「何が得意?」だけを聞かない
大人でも、自分の得意なことを突然聞かれると答えにくいものです。
子どもには、次のように質問を細かくすると考えやすくなります。
| 聞き方 | 気づきやすいこと |
|---|---|
| 何をしているときが楽しい? | 興味や好み |
| 何なら一人でも始められる? | 取り組みやすい活動 |
| よく人に頼まれることはある? | 周囲から見える強み |
| 前よりできるようになったことは? | 成長や工夫 |
| どんなときに疲れやすい? | 負担になりやすい条件 |
| 手伝ってもらうなら何を手伝ってほしい? | 必要な支援 |
| 一人とグループならどちらがやりやすい? | 合いやすい環境 |
このような質問をすると、「得意・不得意」という二択では捉えにくかった特徴が見えてきます。
苦手は固定された能力とは限らない
「漢字が苦手」「運動が苦手」「人付き合いが苦手」といった言葉は便利ですが、範囲が広すぎることがあります。
たとえば「運動が苦手」という子でも、競争は苦手でも散歩は好きかもしれません。球技は難しくても、泳ぐことは好きかもしれません。
「人付き合いが苦手」という場合も、大人数では緊張するけれど、一対一ならよく話せることがあります。
そこで、
「何が難しい?」 「どんなときなら少しやりやすい?」 「何があると助かる?」
と条件を探します。
「私はできない人」ではなく、「この条件だと難しい。こうするとやりやすい」と理解できることは、自分に合った方法を選ぶうえで役立ちます。
子どもへの声かけ例
自己理解を支える声かけでは、評価や決めつけを減らし、観察した事実と本人の感覚をつなぐことを意識します。
たとえば、次のように言い換えられます。
| 決めつけになりやすい言葉 | 自己理解につながりやすい言葉 |
|---|---|
| あなたは人見知りだから | 初めての場所では、少し様子を見てから話すことが多いね |
| いつも飽きっぽいね | 今日は途中で別のことをしたくなったんだね。何があった? |
| 本当に負けず嫌いだね | 負けたとき、すごく悔しかったんだね |
| 算数が苦手だね | どの問題から難しいと感じた? |
| 優しい子だね | 困っている子に声をかけていたね |
| 集中力がないね | 周りに音があると気が散りやすい? |
| もっと自信を持って | できそうだと思うところと、不安なところはどこ? |
重要なのは、右側の言い方を暗記することではありません。
「私はあなたのことをもう分かっている」という姿勢ではなく、「あなた自身はどう感じたのだろう」と確かめる姿勢を持つことです。
「あなたは○○な子」と性格をまとめる前に、「今日は○○していたね」と事実を伝えてみましょう。そのあとに「自分ではどう思った?」と聞くと、子ども自身が考える余地を残せます。
言葉にできないときの工夫
自己理解は、必ず会話だけで行う必要はありません。まだ言葉にしにくい子には、絵や選択肢など別の方法も使えます。
選択肢から選んでもらう
「どう感じた?」では答えにくい場合は、
「楽しかった、普通、嫌だったならどれに近い?」 「悲しかった?悔しかった?よく分からない?」
と候補を出します。
「どれでもない」という選択肢も残しておくと、大人の答えに合わせる必要がなくなります。
数字で表してみる
感情の強さを、
「心配は0から10ならどれくらい?」 「疲れは今どれくらい?」
と数字で表してみる方法もあります。
数字そのものに厳密な意味はありません。「昨日は8だったけれど今日は4くらい」といった変化に本人が気づくための目安として使います。
絵や色を使う
絵や色をきっかけにする方法もあります。
たとえば、
「今の気持ちに近い色を選ぶなら何色?」 「この色を選んだのはどんな感じだから?」
と聞きます。
ここで、「赤だから怒っている」「青だから悲しい」と大人が意味を決める必要はありません。同じ色でも感じ方は人によって異なります。
色は心理状態を診断する道具としてではなく、言葉にしにくい感覚について本人が考えるきっかけとして使うことができます。
遊びや物語から考える
直接「あなたはどう思う?」と聞かれると答えにくい子は、物語や人形を通すと話しやすいことがあります。
「この子は今どんな気持ちだと思う?」 「もし自分だったらどうする?」
という話から、自然に自分の経験を振り返れる場合があります。
無理に本人の話へ結びつけず、遊びとして終わってもかまいません。

避けたい5つの関わり方
自己理解を育てようとするあまり、大人が答えを急ぐと、かえって子どもが自分の感覚を確かめにくくなることがあります。
性格を決めつける
「あなたは内気」 「頑固な子」 「繊細だから」 「リーダータイプだね」
と繰り返し言われると、子どもがその言葉を「自分はそういう人間なんだ」と受け取ることがあります。
人の特徴は場面によって変わります。
「初対面では静かだけれど、慣れるとよく話す」のように、状況まで含めて見るほうが本人の理解につながります。
きょうだいや友達と比べる
「お姉ちゃんはできたのに」 「○○君は積極的だよ」
という比較は、本人の特徴を知るというより、「誰より上か下か」という評価につながりやすくなります。
比較するなら他人ではなく、
「前は一人でできなかったけれど、今日はここまでできたね」
と本人の過去との変化を見る方法があります。
大人の答えへ誘導する
「本当は悔しかったんでしょう?」 「あなたは絵が好きなんでしょう?」
と聞かれると、子どもは大人が期待している答えを感じ取ることがあります。
「私はそう見えたけれど、あなたはどうだった?」
という形にすると、違う答えも言いやすくなります。
何度も理由を問い詰める
「どうして?」 「なんでそうしたの?」 「理由は?」
と繰り返されても、本人にも理由が分からないことがあります。
その場合は、
「今は分からなくても大丈夫」 「後で思いついたら教えてね」
といった余白も必要です。
自己理解には、自分の中をゆっくり振り返る時間も含まれます。
ネガティブな感情を消そうとする
「そんなことで怒らないの」 「怖くないよ」 「悲しむ必要はないよ」
と言われると、子どもが「こう感じてはいけないのかな」と思う場合があります。
気持ちを受け止めることは、その感情に基づく行動をすべて認めることとは違います。
「怖かったんだね。それでも、ここではこうしよう」と、気持ちと行動を分けて考えることができます。
日常でできる自己理解の習慣
特別なワークを用意しなくても、日常生活の短いやり取りを積み重ねることで、自分を振り返る機会をつくれます。
たとえば、一日の終わりに次の中から一つだけ聞いてみます。
- 今日、楽しかったことは何だった?
好きなことや興味に気づくきっかけになります。 - 今日、困ったことはあった?
苦手そのものではなく、困りやすい場面を見つけられます。 - うまくできたことは何だった?
小さな成功や、自分が使った工夫を振り返れます。 - 誰かに助けてもらったことはあった?
自分に必要なサポートを理解する練習になります。 - 明日はどうしたい?
自分の希望や選択に目を向けられます。
毎日すべて聞く必要はありません。
「今日はどの質問にする?」と本人に選んでもらうのもよいでしょう。会話が負担になる日は休んでもかまいません。
自己理解を育てるうえでは、質問の数より、答えを評価されずに話せる安心感のほうが大切です。
大人の見方も一度疑ってみる
子どもの自己理解を支えるとき、実は大人側の「この子はこういう子」という見方を見直すことも重要です。
同じ行動でも、意味は一つとは限りません。
たとえば、発表しない子を見て「消極的」と感じても、
- 間違えることが心配
- 考えを整理してから話したい
- 大人数では緊張する
- 内容に自信がない
- 今日は疲れている
など、さまざまな可能性があります。
もちろん、大人がすべての理由を知ることはできません。
だからこそ、「この子はこういう性格だから」と早く結論を出すのではなく、「何が起きているのだろう」と一緒に確かめる姿勢が役立ちます。
子ども自身が、
「私は発表できない人」
ではなく、
「大勢の前では緊張するけれど、準備しておけば少し話しやすい」
と理解できれば、自分を否定するだけでなく、自分なりの対処方法を考えやすくなります。

困りごとが大きい場合は相談する
自己理解を支える家庭での関わりは大切ですが、すべての困りごとを家庭だけで解決しようとする必要はありません。
たとえば、
- 気持ちや要求を伝えられず日常生活で強く困っている
- 園や学校への強い不安が続いている
- 自分を強く否定する言葉が続いている
- 友達とのやり取りで本人が繰り返し苦しんでいる
- 言葉や発達について保護者が気になることがある
といった場合は、園や学校の先生、スクールカウンセラー、自治体の子育て・教育相談窓口、小児科などに相談する方法があります。
相談することは、子どもに何か問題があると決めつけることではありません。
家庭とは違う場面での様子を知ったり、その子に合った伝え方や環境を考えたりするためにも、第三者の視点が役立つことがあります。
「どうしたら子どもを変えられるか」ではなく、「この子は今、何に困っていて、何があると少し楽になるだろう」と考えてみてください。この問いは、自己理解を支えるときにも、大人が子どもを理解するときにも役立ちます。
子どもの自己理解のよくある質問
- 自己理解は何歳から育てられますか?
-
「何歳から自己理解を教える」という明確な開始年齢を決める必要はありません。
幼い時期から、大人が「うれしかったね」「びっくりした?」と気持ちに言葉を添えたり、「どっちがいい?」と選ぶ機会をつくったりすることが土台になります。
成長に伴って、気持ち、理由、得意不得意、価値観など、振り返れる内容が少しずつ増えていきます。
年齢よりも、その子が今どのくらい表現できるかを見ながら関わることが大切です。
- 何を聞いても「わからない」と言うのですが大丈夫ですか?
-
「わからない」は珍しい答えではありません。
本当に分からない場合もあれば、言葉が見つからない、疲れている、質問されたくない、大人が求めている答えが分からない、といった可能性もあります。
「楽しかった、普通、嫌だったならどれに近い?」と選択肢を出したり、「今は分からなくてもいいよ」と終えたりしてみましょう。
答えさせることより、自分の感覚を安心して考えられることが重要です。
- 親が子どもの気持ちを言葉にしてもよいですか?
-
言葉にする手助けはできますが、答えとして決めつけないことがポイントです。
「悔しいんだね」と断定する代わりに、
「悔しかったのかな?」 「悲しいのと悔しいのなら、どちらに近い?」
と確認します。
子どもが「違う」と言ったら、その答えを尊重しましょう。大人の役割は気持ちを言い当てることではなく、本人が見つけるための言葉を用意することです。
- 子どもに得意なことが見つからない場合はどうすればよいですか?
-
「得意」を特別な才能として探さなくてもかまいません。
「長く続けられること」「人からよく頼まれること」「前よりできるようになったこと」「やっていて苦になりにくいこと」なども、自分の特徴を知る材料になります。
また、得意不得意は環境によって変わります。
一人なら集中できる、口頭より書いたほうが伝えやすい、時間をかければ理解できるといった特徴も、本人が自分に合った方法を知るための重要な自己理解です。
- 子どもが「自分はダメ」と言うときはどう返せばよいですか?
-
すぐに「そんなことないよ」と否定するより、まず何があったのかを聞いてみましょう。
「そう思うくらい嫌なことがあった?」 「どの出来事でそう感じた?」
と具体的にすると、「テストで間違えた」「友達に負けた」など、自己否定につながった出来事が見えてくることがあります。
そのうえで、「テストを間違えたこと」と「あなた自身がダメであること」は別だと整理できます。
強い自己否定が長く続く場合や、学校生活・日常生活への影響が大きい場合には、家庭だけで抱えず、学校や専門機関への相談も検討してください。
まとめ
子どもの自己理解を育てるうえで大切なのは、大人がその子の性格や能力を早く決めることではありません。
「今日はどう感じた?」 「何がやりやすかった?」 「どこで困った?」 「どうすると少し楽になりそう?」
という小さな対話を重ねながら、子ども自身が自分について考え、自分なりの言葉を見つけられるよう支えることが基本です。
「人見知り」「飽きっぽい」「勉強が苦手」と一言でまとめるのではなく、「どんな場面でそうなるのか」「違う場面ではどうなのか」まで見てみると、その子の姿はより立体的になります。
そして、自己理解には完成形がありません。
子どもは経験によって変化しますし、以前は苦手だったことが得意になることもあります。「自分はこういう人」と固定するのではなく、「今の私はこう感じている」「こうするとやりやすい」と更新していけることが大切です。
大人も答えを急がず、本人の言葉が出てくるまで少し余白を残してみてください。
カラットセラピーでも、色などを手がかりに、自分の気持ちを一方的に決めつけるのではなく、「自分はどう感じているのか」を見つめることを大切にしています。自己理解や、自分の気持ちと向き合うための考え方をさらに学びたい方は、無料メール講座も一つの学び方として活用できます。


