「自分の意見を言うと、わがままだと思われそう」「断りたいのに、相手を傷つけるのが怖い」。人間関係の中で、このように感じたことがある方は少なくないでしょう。
そんなときに役立つ考え方の一つがアサーションです。アサーションとは、単に自分の主張を強く伝えることではありません。自分の気持ちや希望を大切にしながら、同時に相手の立場や考えも尊重して伝えようとするコミュニケーションの考え方です。
大切なのは、「何でも言いたいことを言えばよい」と考えないことです。また、アサーティブに伝えれば必ず相手が納得してくれるわけでもありません。相手との関係、その場の状況、安全性などを考えながら、柔軟に使う必要があります。
この記事では、心理学におけるアサーションの意味から、ほかのコミュニケーションとの違い、日常で実践するときの具体的な考え方まで分かりやすく解説します。
- アサーションとは何かを簡単に理解できる
- 心理学でのアサーションの意味が分かる
- 受け身・攻撃的な伝え方との違いを整理できる
- 仕事や人間関係で実践するための基本が分かる
アサーションとは

アサーションとは、自分自身と相手の両方を尊重しながら、自分の考え、気持ち、希望などを表現することを意味します。
日本の心理学領域では、「自他を尊重した自己表現」などと説明されることがあります。アサーションは行動療法の流れの中で発展してきた概念であり、自分の要望だけを一方的に通すこととは区別して考えられています。心理学領域におけるアサーションの位置づけについては、J-STAGE掲載の「機能的アサーションとは何か?」でも、自他を尊重した自己表現として説明されています。
たとえば、予定がある日に知人から急な頼み事をされたとします。
本当は難しいのに「いいよ」と引き受けてしまうこともあれば、「急に頼まれても無理」と強く拒絶することもあるでしょう。
アサーションでは、そのどちらか一方ではなく、
「今日は予定があって難しいです。明日の午後なら手伝えます」
というように、自分の事情を伝えながら、可能であれば相手との折り合いも探します。
ここで重要なのは、必ず代案を出さなければならないという意味ではありません。できないことは「できない」と伝えて構いません。アサーションで目指すのは、自分を犠牲にすることでも、相手を従わせることでもなく、自分と相手をともに一人の人として尊重しながら対話することです。
簡単にいうと何か
アサーションとは簡単にいうと、
「私はこう思う」と伝えることと、「あなたはそう思うのですね」と相手を尊重することを両立させる考え方
です。
自分の意見を持つことと、相手の意見を否定しないことは両立できます。
たとえば、
「私はA案がよいと思います。ただ、あなたがB案を選びたい理由も聞かせてもらえますか」
という伝え方です。
自分の考えを曖昧にせず、それと同時に相手にも意見を表明する余地を残しています。
アサーションを「上手な言い方のテクニック」だけで考えると、かえって不自然になることがあります。まずは「自分の意見も相手の意見も、どちらも存在してよい」という姿勢を持つことが大切です。
心理学での意味
心理学におけるアサーションは、単なる話し方ではなく、対人関係における自己表現のあり方として扱われてきました。
特に大切なのが、自己表現と他者尊重の両方を見ることです。
アサーションに関連する日本の研究や心理教育では、「自他相互尊重」という考え方が重視されています。日本教育心理学会の資料でも、アサーション・トレーニングと自他相互尊重との関係が扱われています。
自分を尊重する
自分を尊重するというのは、何でも自分の要求を優先することではありません。
たとえば、
- 本当はどう感じているのか
- 何に困っているのか
- 何を希望しているのか
- 何ならできるのか
- 何は引き受けられないのか
といった自分の状態を無視しないことです。
「相手が嫌な顔をしそうだから」という理由だけで、いつも自分の希望を抑えていると、自分でも何を望んでいるのか分からなくなることがあります。
アサーションでは、自分にも意見や感情を表現する権利があると考えます。
相手を尊重する
一方で、自分に考えがあるのと同じように、相手にもその人なりの事情や意見があります。
そのため、
「私は正しいのだから、あなたが従うべきだ」
という態度はアサーションとは異なります。
自分の希望を伝えた結果、相手から「それはできません」と返される場合もあります。それでも、相手の返事を聞き、必要であれば話し合う余地を残すことが大切です。
つまりアサーションは、自分の要求を必ず実現する方法ではなく、互いの考えをできるだけ率直に扱うコミュニケーションだと考えると分かりやすいでしょう。
アサーションの英語の意味
「アサーション」は、英語の「assertion」に由来する言葉です。ただし、一般的な英単語としての意味と、心理学やコミュニケーション教育で使われる意味は完全に同じではありません。
英語の「assertion」には、主張、断言、言明といった意味があります。
一方、心理学やコミュニケーションの文脈では、関連して次のような言葉も使われます。
| 英語 | 日本語での使われ方の例 |
|---|---|
| assertion | 主張、自己表現、アサーション |
| assertive | アサーティブな、適切に自己表現する |
| assertiveness | アサーティブネス、自己表現のあり方や能力 |
| assertiveness training | アサーション・トレーニング、アサーティブネス・トレーニング |
日本語では「アサーション」「アサーティブ」「アサーティブネス」など複数の表現が使われ、研究や研修によって用語が異なることがあります。
そのため、「アサーション=強い自己主張」と英単語の訳だけで理解すると、本来の意図から離れてしまう可能性があります。
心理学的な文脈では、自分の表現だけでなく、相手への尊重も含めて理解することがポイントです。

3つの伝え方の違い
アサーションを理解するときには、コミュニケーションを「受け身」「攻撃的」「アサーティブ」という3つの傾向に分けて考える方法があります。
人間を3種類に分類するものではありません。同じ人でも、相手や状況によって異なる伝え方をするため、あくまでコミュニケーションを振り返るための目安です。
| 伝え方 | 自分への配慮 | 相手への配慮 | 例 |
|---|---|---|---|
| 受け身 | 少なくなりやすい | 優先しやすい | 「何でもいいよ」 |
| 攻撃的 | 優先しやすい | 少なくなりやすい | 「普通は私の言う通りにするでしょ」 |
| アサーティブ | 大切にする | 大切にする | 「私はAが希望です。あなたはどうですか」 |
受け身の伝え方
受け身の伝え方では、自分の気持ちや希望を表に出さず、相手を優先しやすくなります。
たとえば、本当は残業できないのに、
「大丈夫です」
と答えてしまうケースです。
もちろん、自分から相手に譲ること自体が問題なのではありません。「今回は相手を優先しよう」と自分で納得して選択しているなら、それも一つの意思表示です。
問題になりやすいのは、断る選択肢があるにもかかわらず、「断ってはいけない」「相手を不機嫌にさせてはいけない」と考え、いつも自分の気持ちを押し込めてしまう場合です。
攻撃的な伝え方
攻撃的な伝え方では、自分の要求や正しさを優先し、相手の意見や事情を軽視しやすくなります。
たとえば、
「こんな簡単なことも分からないの?」 「私が正しいんだから、その通りにして」
といった伝え方です。
意見を強く持つことそのものが攻撃的なのではありません。必要な場面では、はっきり反対することもあります。
違いは、相手の人格を否定したり、発言する余地を奪ったりしていないかという点にあります。
アサーティブな伝え方
アサーティブな伝え方では、自分の意見を必要以上に小さくすることも、相手を押さえつけることもしません。
たとえば、
「今日中の対応が必要なのは理解しています。ただ、今の業務量では17時までに両方を終えるのは難しいです。どちらを優先するか相談できますか」
と伝える方法です。
自分の状況と希望を伝えながら、相手との調整を求めています。
アサーティブなコミュニケーションでは、「自分が正しいか」「相手が間違っているか」と勝敗を決めるより、今の状況でどのようなやり取りが可能かを考えることが重要です。
アサーションの基本姿勢
実際にアサーションを取り入れるときは、言葉だけを覚えるより、いくつかの基本姿勢を意識すると理解しやすくなります。
ここでは、日常のコミュニケーションで特に大切な考え方を整理します。
自分の気持ちを確認する
相手に伝える前に、まず自分の気持ちを確認します。
「嫌だ」と思っているように見えても、詳しく考えると、
- 急に頼まれて困っている
- 今は疲れている
- 自分ばかり負担していることに不満がある
- 頼まれ方に引っかかっている
- 本当は協力したいが今日は難しい
など、さまざまな状態が考えられます。
自分が何に困っているのかが分かるほど、相手を責める言葉ではなく、自分の状態として説明しやすくなります。
事実と解釈を分ける
アサーションでは、事実と自分の解釈を分けて伝えることも役立ちます。
たとえば、
「あなたはいつも私を無視する」
という表現には、「いつも」「無視している」という解釈が含まれています。
一方、
「昨日と今日、話している途中でスマートフォンを見ていたので、話を聞いてもらえていないように感じました」
とすると、具体的な出来事と自分の感じ方を分けて表現できます。
相手が「無視したつもりはない」と考えていたとしても、起きた出来事や自分の感じ方について話し合いやすくなります。
希望を具体的に伝える
不満だけを伝えても、相手には「それではどうしてほしいのか」が分からない場合があります。
「もっとちゃんとして」
ではなく、
「変更があるときは、前日の夕方までに教えてもらえると助かります」
と具体的に伝えるほうが、相手も対応を考えやすくなります。
ただし、希望を伝えることと、相手に従わせることは別です。
お願いした結果、「それは難しい」と言われる可能性も含めてコミュニケーションを考えます。
相手の話も聞く
アサーションは話す技術だけではありません。
自分が意見を言えるのと同じように、相手にも説明する機会があります。
「私はこう考えています。あなたはどう思いますか」
と確認し、相手の返答を聞くことで、初めて双方を尊重したコミュニケーションになっていきます。

アサーティブに伝える方法

アサーションに決まった台詞があるわけではありませんが、何を言えばよいか迷うときには一定の順序で考えると整理しやすくなります。
代表的な方法として知られているのが、DESCと呼ばれる考え方です。
DESCで整理する
DESCでは、状況をおおむね次の4つに分けて整理します。
- Describe:状況を具体的に説明する
相手を評価するのではなく、何が起きているのかをできるだけ具体的に確認します。 - Express:自分の気持ちや考えを表現する
「私は困っています」「私はこう考えています」のように、自分の立場から伝えます。 - Specify:希望を具体的に伝える
相手にどうしてほしいのか、可能な範囲で具体的に説明します。 - Consequences:結果や選択肢を示す
希望が実現した場合にどうなるか、難しい場合にどのような別の選択肢があるかを考えます。
たとえば、職場で打ち合わせ開始時刻に遅れる人が続いている場合を考えてみます。
「最近、10時開始の打ち合わせが10時15分ごろから始まることが続いています。私はその後に別の予定があるので、終了時間が遅くなると困ります。できれば10時に始められるようにしたいです。難しい場合は、開始時刻そのものを変更できるか相談したいです」
という形です。
もちろん、いつも4段階をすべて口にする必要はありません。
短く、
「今日は予定があるので参加できません。また次回誘ってください」
だけで十分な場合もあります。
DESCは、相手を操作するための公式ではなく、自分の中で伝えたいことを整理するための補助線として使うとよいでしょう。
伝え方に迷ったら、「事実」「自分の気持ち」「自分の希望」の3つを分けて考えてみましょう。この3点だけでも、相手への非難を減らしながら自分の意思を伝えやすくなります。

場面別の具体例
アサーションは、仕事、家族、恋愛、友人関係などさまざまな場面で応用できます。
ここでは、よくある場面を例に、受け身や攻撃的な表現との違いを見ていきます。
仕事を断りたいとき
上司や同僚から追加の仕事を頼まれたものの、すでに別の業務を抱えている場合です。
受け身では、
「分かりました。やります」
と無理に引き受けてしまうかもしれません。
反対に、
「無理です。これ以上仕事を振らないでください」
と強く返すと、必要以上に対立する可能性があります。
アサーティブに伝えるなら、
「対応したいのですが、今日はAとBの締め切りがあります。この仕事を優先する場合、どちらかの期限を変更できるか相談させてください」
という方法があります。
ポイントは、単なる拒否ではなく、現在の状況を相手と共有することです。
誘いを断りたいとき
友人から誘われたとき、本当は休みたいのに「断ったら嫌われるかもしれない」と感じることもあるでしょう。
その場合、
「誘ってくれてありがとう。今週はゆっくり休みたいので、今回は行かないことにするね」
と伝えることもアサーションです。
理由を長く説明する義務はありません。
「今回は参加しません」「今日は難しいです」と伝えるだけでも十分なケースがあります。
パートナーに希望を伝えるとき
恋愛関係では、「言わなくても分かってほしい」と期待することがあります。
しかし、相手が自分と同じように状況を受け取っているとは限りません。
たとえば、
「どうして全然連絡してくれないの?」
と責める代わりに、
「連絡が数日ないと、私は予定を決めにくくて困ることがあります。忙しいときは一言だけでも教えてもらえるとうれしいです」
と伝える方法があります。
それでも相手の行動が変わらない可能性はあります。
そこで重要になるのは、「どう言えば相手を変えられるか」だけを考えるのではなく、相手の返答を踏まえて、自分はその関係をどうしたいのかを考えることです。
家族に頼みたいとき
家庭では関係が近いため、「普通なら分かるでしょう」と考えやすくなります。
たとえば、
「なんで私ばかり家事をしなきゃいけないの?」
ではなく、
「最近、夕食後の片づけが私に偏っていて負担を感じています。平日は交代で担当するのはどうでしょうか」
と具体的に伝えます。
相手が別の事情を抱えているなら、その事情も聞いたうえで改めて方法を考えます。
断ることもアサーション
アサーションを学ぶうえで特に大切なのが、「断る」という自己表現です。
人間関係を大切にする人ほど、「NOと言うと相手を否定することになる」と感じる場合があります。
しかし、依頼を断ることと、相手自身を否定することは同じではありません。
たとえば、
「今日はできません」
という返事は、その依頼を今は引き受けられないという意思表示です。「あなたのことが嫌い」という意味ではありません。
断るときは、
- 結論を必要以上に曖昧にしない
- 必要なら簡潔に理由を伝える
- 可能であれば代案を提示する
- 過剰に謝罪し続けない
といった点を意識するとよいでしょう。
たとえば、
「ごめんなさい、ちょっと今日は難しいかもしれなくて、でもできれば何とかしたいんですが……」
と曖昧にすると、相手には「頼めば引き受けてもらえる」と受け取られることがあります。
「今日は予定があるのでできません」
と短く伝えるほうが、お互いに状況を理解しやすい場合もあります。
もちろん、立場や関係性によって断り方は変わります。すべての人に同じ言葉を使う必要はありません。

アサーションで大切なこと

アサーションは便利な考え方ですが、「アサーティブに話せば人間関係の問題は解決する」と考えるのは適切ではありません。
実際のコミュニケーションには、相手との関係や立場、その場の安全性など多くの要因があります。
相手を動かす技術ではない
アサーションを使って丁寧に希望を伝えても、相手が断る場合があります。
「こんなに上手に伝えたのに、なぜ言うことを聞いてくれないのだろう」と感じるかもしれません。
しかし、相手にも自分と同じように選択する余地があります。
アサーションの目的は、相手を思い通りに動かすことではありません。
自分の意思を表現したうえで、相手の意思も確認し、必要に応じて次の選択を考えることが大切です。
必ず穏やかに話すという意味ではない
アサーションというと、「いつも笑顔で優しく話さなければならない」と思われることがあります。
しかし、不快なことに対して不快だと伝えることや、重大な問題に対して明確に抗議することまで避ける必要はありません。
「その言い方はやめてください」 「その条件には同意できません」
と明確に伝えることが適切な状況もあります。
相手を尊重することと、自分の境界線を曖昧にすることは別です。
言わない選択をしてもよい
アサーションは「何でも本音を言うこと」でもありません。
今は話さないほうがよいと判断したり、少し時間を置いたりすることも選択肢です。
たとえば、感情が非常に高ぶっているときに無理に話し合うより、
「今は落ち着いて話せそうにないので、少し時間を置きたいです」
と伝えるほうがよいこともあります。
自分で「今は言わない」と選択することと、怖くて何も言えずに我慢し続けることは分けて考えてみましょう。
アサーションが難しい理由
考え方を理解していても、実際には言いたいことを言えない場合があります。
そこには、話し方だけではなく、自分自身の考え方や人間関係の経験が関係していることがあります。
嫌われるのが怖い
「断ったら嫌われる」 「反対意見を言うと関係が壊れる」
と感じると、自分の希望を抑えやすくなります。
もちろん、相手が不満を持つ可能性をゼロにすることはできません。
大切なのは、
「相手が少し残念に思うこと」と 「自分が悪い人間であること」
を同じにしないことです。
人間関係では、相手の希望に応えられない場面もあります。
正解を言おうとしすぎる
アサーションを学ぶと、
「この場面では何と言えば正解なのだろう」
と考えすぎることがあります。
しかし、コミュニケーションに一つだけの正解があるとは限りません。
同じ内容でも、
「今日は難しいです」 「今は対応できません」 「今回は見送ります」
など、自分が自然に使える言葉で構いません。
大切なのは、型通りの言葉よりも、自分と相手の両方を尊重しようとしているかどうかです。
自分の希望が分からない
長い間、周囲を優先してきた場合には、「自分がどうしたいのか分からない」ということもあります。
その場合、いきなり相手への伝え方を考えるより、
「私は今、何が嫌なのだろう」 「本当はどうなれば少し楽なのだろう」 「何なら受け入れられるだろう」
と自分の気持ちを整理するところから始めてもよいでしょう。
アサーションはコミュニケーションの方法であると同時に、自分の気持ちや価値観に気づくきっかけにもなります。
日常で練習する方法
アサーションは、重要な話し合いのときだけ必要になるものではありません。
むしろ日常の小さな場面から練習すると、自分に合う伝え方を見つけやすくなります。
小さな希望から伝える
最初から大きな対立のある問題で実践する必要はありません。
たとえば、
「今日は和食が食べたい」 「窓を少し開けてもいい?」 「私は午後のほうが都合がいいです」
など、小さな希望を伝えるところから始めます。
普段「何でもいい」と答えがちな人にとっては、自分の希望を一つ口にするだけでも練習になります。
「私は」を主語にする
相手を責めそうになったときには、「私は」を主語にして考える方法があります。
「あなたが遅いから迷惑」
ではなく、
「私は予定が決まらないと困るので、17時までに返事がほしいです」
といった形です。
すべての文章を「私は」で始める必要はありませんが、相手への評価ではなく自分の状態を説明する助けになります。
一度で完璧に伝えようとしない
一回の会話ですべてを説明し、相手にも完全に理解してもらおうとすると負担が大きくなります。
伝えてみて、
「少し違う意味で伝わったかもしれない」
と思えば、改めて説明して構いません。
コミュニケーションは一度きりの試験ではありません。やり取りを重ねながら調整していくものです。
自分の言い方がアサーティブだったかどうかを「成功・失敗」だけで評価しなくても大丈夫です。「自分の気持ちは伝えられたか」「相手の話も聞けたか」「次はどこを変えたいか」と振り返ると、少しずつ自分に合うコミュニケーションを見つけやすくなります。

アサーションのよくある質問
- アサーションとは簡単にいうと何ですか
-
アサーションとは、自分の気持ちや意見を率直に伝えながら、相手の気持ちや意見も尊重するコミュニケーションの考え方です。
自分だけを我慢させるのでも、相手を押し切るのでもなく、お互いの立場を大切にしながら伝えることを目指します。
- アサーションと自己主張は同じですか
-
完全に同じと考えないほうが分かりやすいでしょう。
アサーションには自分の考えを主張する要素がありますが、それだけではありません。心理学やコミュニケーション教育の文脈では、相手の立場や表現する権利も尊重することが重要になります。
「自分の意見を通す」のではなく、「自分の意見を伝え、相手の意見も扱う」という違いがあります。
- アサーティブに話せば相手は納得してくれますか
-
必ず納得してもらえるとは限りません。
自分が丁寧に希望を伝えたとしても、相手には相手の事情や希望があります。意見が一致しないこともあります。
アサーションは相手を説得して思い通りにする方法ではなく、互いの考えをできるだけ率直に扱うための考え方です。
- NOと言うこともアサーションですか
-
はい。必要なときに断ることも大切な自己表現です。
「今日はできません」「今回は参加しません」と伝えることは、相手自身を否定することとは異なります。
ただし、伝え方やタイミングは相手との関係や状況に合わせて考える必要があります。
- アサーションが苦手な人はどうすればよいですか
-
まずは重要な交渉ではなく、日常の小さな希望を伝える練習から始めてみるとよいでしょう。
「私はこっちがいいです」「今日は難しいです」など、自分の意見を短く言葉にするだけでも練習になります。
同時に、「私は本当はどうしたいのか」を整理することも大切です。自分の気持ちや人間関係について一人では整理しにくいと感じる場合には、信頼できる人や専門家との対話を利用する方法もあります。
まとめ
アサーションとは、自分の気持ちや希望を率直に表現しながら、相手の立場も尊重しようとするコミュニケーションの考え方です。
自分を抑えて何でも受け入れることでも、自分の意見を強く押し通すことでもありません。
大切なのは、
- 自分がどう感じているのかを確認する
- 事実と解釈を分ける
- 自分の希望をできるだけ具体的に伝える
- 相手にも意見や選択の余地があることを尊重する
という姿勢です。
そして、アサーティブに伝えたからといって、必ず意見が一致するわけではありません。人と人との間には、ときに価値観や希望の違いがあります。
その違いをなくすことよりも、「私はどう思っているのか」「相手はどう考えているのか」を互いに扱えることが、アサーションでは大切になります。
もし人間関係の中で「相手に合わせすぎてしまう」「本当はどうしたいのか自分でも分からない」と感じているなら、まず自分の気持ちを言葉にしてみるところから始めてみてください。
自分を尊重することと、相手を尊重することは、どちらか一方を選ばなければならないものではありません。状況に応じて両方を大切にする方法を探していくことが、アサーティブなコミュニケーションへの第一歩です。


