アサーショントレーニング実践例|大人向けワークとロールプレイ

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アサーショントレーニング実践例|大人向けワークとロールプレイ

「言いたいことがあるのに、相手を嫌な気持ちにさせそうで言えない」「我慢していたら、最後に強い言い方になってしまった」。人間関係の中で、このような経験をすることは珍しくありません。

アサーションは、自分の気持ちや考えを大切にしながら、相手の立場も尊重して伝えるためのコミュニケーションの考え方です。ただし、知識として「自分も相手も尊重する」と理解するだけでは、実際の会話ですぐに使えるとは限りません。

大切なのは、身近な場面を題材にして、自分の気持ちと要望を整理し、いくつかの言い方を実際に試してみることです。この記事では、大人が一人でもグループでも取り組めるアサーショントレーニングの実践例を、ワークシート、ロールプレイ、ゲーム形式まで具体的に紹介します。

記事の監修者

株式会社ココロザC代表取締役。カラーセラピスト・心理カウンセラーとして活動。
日本初の「カラットセラピー」を創生。相談実績は延べ20,000人以上。
カラットセラピスト育成実績は800名以上。

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この記事を読むと分かること
  • アサーショントレーニングを実生活につなげる基本的な進め方
  • 大人が一人でも無料でできるワークシート形式の練習方法
  • 職場や家庭で使えるアサーションのロールプレイ事例
  • グループ研修でも使いやすいゲーム形式のトレーニング例
目次

アサーションは練習で身につける

アサーションは練習で身につける

アサーションを実際の人間関係で使うには、「正しい言い方を覚える」よりも、さまざまな場面で自分なりの伝え方を考える練習が役立ちます。

アサーションでは、自分の意見を我慢することだけが問題なのではありません。反対に、自分の主張だけを押し通してしまえば、相手を尊重したコミュニケーションとは言いにくくなります。

大まかに分けると、コミュニケーションには次のような違いがあります。

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伝え方特徴
非主張的自分の気持ちや希望を抑えやすい「大丈夫です」と引き受け続ける
攻撃的自分の要求を優先し、相手を責めやすい「どうしていつも私ばかりなの?」
アサーティブ自分と相手の双方を尊重して伝える「今日は難しいので、明日なら対応できます」

ここで重要なのは、「アサーティブな言い方には一つの正解がある」と考えないことです。同じ状況でも、相手との関係、時間、場所、本人がどこまで対応できるかによって、適切な表現は変わります。

そのため、アサーショントレーニングでは、模範解答を暗記するのではなく、自分の気持ちと相手への配慮を両方含めた表現を複数考えることがポイントになります。

ワンポイントアドバイス

普段うまく言えなかった場面を練習するときは、最初から「上手な言い方」を作ろうとしなくても大丈夫です。まず「本当は何が嫌だったのか」「どうなってほしかったのか」を整理すると、自分に合った言葉を考えやすくなります。

実践前に整理したい4つの要素

アサーションの練習を始める前に、出来事、気持ち、要望、伝え方を分けて考えておくと、会話を組み立てやすくなります。

例えば、職場で同僚から終業直前に急な仕事を頼まれたとします。

すぐに「断るべきか」「引き受けるべきか」を考えるのではなく、次の4点を整理します。

  1. 何が起きたのか
    「終業予定の10分前に、今日中の仕事を頼まれた」
  2. 自分はどう感じたのか
    「困った」「焦った」「また自分だけに頼まれたようで負担に感じた」
  3. 自分はどうしてほしいのか
    「今日は断りたい」「明日にしてほしい」「急ぎなら優先順位を確認したい」
  4. どのように伝えるか
    「今日は予定があるため難しいです。明日の午前中であれば対応できます」

このように分解すると、「相手に腹が立つ」という感情と、「今日中にはできない」という具体的な要望を分けられます。

感情自体を否定する必要はありません。ただし、相手に伝えるときには、感情をそのままぶつけるより、具体的な事実や希望に置き換えたほうが話し合いやすくなる場合があります。

一人でできる無料ワーク

アサーショントレーニングは、特別な教材がなくても始められます。紙やノート、スマートフォンのメモがあれば、大人向けのワークシートとして十分に活用できます。

ワーク1 言えなかった場面を書く

最初に、最近「本当は言いたかったけれど言えなかったこと」を一つ選びます。

例えば次のような場面です。

  • 職場で仕事を頼まれて断れなかった
  • 家族に家事を手伝ってほしかったが言えなかった
  • 友人との約束の時間を変更したかった
  • 店員の対応に困ったが何も言えなかった
  • 会議で違う意見があったが発言できなかった

次のワークシートを使って整理してみましょう。

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項目記入例
起きたこと同僚から今日中の仕事を頼まれた
そのときの気持ち困った、断ったら悪いと思った
実際にしたこと引き受けた
本当はどうしたかったか明日にしてほしかった
伝えられそうな言葉「今日は難しいので、明日ならできます」

ポイントは、「なぜ言えなかったのか」を自分で責めないことです。

断ることに抵抗があったのか、相手との関係を悪くしたくなかったのか、その場で言葉が思いつかなかったのか。理由を整理するだけでも、次に似た場面が起きたときの準備になります。

ワーク2 主語を「私」にする

人に不満を伝えるとき、「あなたは」「普通は」「みんなは」という言葉が増えると、相手を責める印象になりやすいことがあります。

そこで、「私は」を主語にして言い換える練習をしてみます。

「あなたは連絡が遅すぎる」

という言葉なら、

「私は予定を決めたいので、もう少し早く連絡をもらえると助かります」

と表現できます。

ほかにも次のように練習できます。

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責める言い方「私」を主語にした例
いつも急に頼むよね私は急な依頼だと対応が難しいことがあります
全然話を聞いてくれない私は最後まで話を聞いてもらえるとうれしいです
なんで片づけないの?私は共有スペースを片づけてもらえると助かります

「私は」と言えば必ずアサーティブになるわけではありません。それでも、相手の人格を評価する言葉から、自分の感じ方や希望へ焦点を移す練習として使えます。

ワーク3 断り方を3種類考える

「断る」という行動は、アサーショントレーニングで取り組みやすいテーマの一つです。

例えば、

「今からこの仕事をお願いできますか?」

と頼まれた場合、断り方を一つだけ考えるのではなく、3種類作ってみます。

  • 「今日は時間が取れないので、対応できません」
  • 「今日は難しいですが、明日の午前中ならできます」
  • 「今の業務を先に終える必要があります。こちらを優先する場合は、どちらを後にするか相談してもいいですか」

同じ「できない」という状況でも、完全に断る方法、代替案を提示する方法、条件を確認する方法があります。

複数の言い方を持っていると、実際の場面で「断るか、全部引き受けるか」という二択になりにくくなります。

DESCで伝え方を組み立てる

アサーショントレーニングでは、伝えたい内容を整理する枠組みとしてDESC法が使われることがあります。難しく考えず、会話の下書きを作る方法として利用できます。

DESCは、次の4つの要素で考えます。

  • D:Describe 状況を具体的に説明する
  • E:Express 自分の気持ちや考えを伝える
  • S:Specify してほしいことや提案を具体的に伝える
  • C:Choose/Consequence 相手の反応に応じた選択肢や結果を考える

例えば、会議中に何度も話を途中で遮られることに困っている場合を考えます。

D 状況を説明する

「私が説明している途中で話が入ることが何度かありました」

ここでは、「いつも邪魔する」のような評価ではなく、できるだけ確認できる状況を伝えます。

E 気持ちを伝える

「最後まで説明できず、考えを伝えにくいと感じています」

相手の気持ちを推測するのではなく、自分がどのように感じたかを言葉にします。

S 希望を伝える

「まず最後まで説明してから、意見を聞かせてもらえますか」

「ちゃんとしてほしい」ではなく、相手が何をすればよいのか分かる表現を選びます。

C 次の選択を考える

「そのあとで疑問点を一緒に確認したいです」

相手がすぐに希望どおり動くとは限りません。そのため、次にどう話し合うかまで考えておくと、実際の会話で慌てにくくなります。

DESC法も、順番どおりに話さなければならないルールではありません。短い場面なら、DとSだけで十分なこともあります。

例えば、

「今日は別の予定があるので対応できません。明日ならできます」

だけでも、必要な情報は伝わります。

アサーションでは、長く丁寧に説明するほどよいとは限りません。理由を詳しく説明しすぎると、自分でも「断るには相手が納得する理由が必要だ」と感じてしまうことがあります。必要な情報を簡潔に伝える練習も大切です。

ロールプレイの基本的な進め方

二人以上で練習できる場合は、アサーションのロールプレイが役立ちます。実際に声に出すことで、文章では自然に見えた言葉が言いにくいことにも気づけます。

基本的な進め方は次のとおりです。

  1. 練習する場面を決める
    職場、家庭、友人関係など、参加者に身近な場面を選びます。
  2. 役割を決める
    「伝える人」「相手役」を決めます。3人以上なら観察役を加えてもよいでしょう。
  3. 1回目を演じる
    まずは準備した表現で短く会話します。
  4. よかった点を確認する
    「希望が具体的だった」「声の大きさが落ち着いていた」など、できていた点から共有します。
  5. 別の伝え方を考える
    言いにくかった部分や伝わりにくかった部分を修正します。
  6. もう一度演じる
    表現を変えて再度ロールプレイします。

ロールプレイは演技の上手さを評価するものではありません。

「自分ならこの表現は言いやすい」「丁寧すぎて逆に言いにくい」「もう少し短いほうが自然」といった気づきを得ることが目的です。

職場のロールプレイ事例

職場のロールプレイ事例

職場では、依頼を断る、意見を伝える、仕事量を相談するといった場面が練習に向いています。

事例1 急な仕事を断る

場面

終業30分前に、同僚から「これ、今日中にお願いできますか」と仕事を頼まれました。しかし、あなたにはすでに終わらせる必要がある仕事があります。

非主張的な例

「分かりました……」

本当は難しいと感じているのに、そのまま引き受けています。

攻撃的になりやすい例

「無理です。こんな時間に頼まれても困ります」

断る意思は伝わりますが、相手への責めが強くなる可能性があります。

アサーティブな例

「今日はこの業務を終える必要があるので、今日中の対応は難しいです。明日の午前中であれば対応できます」

ここでは、できないことと、できる条件を分けて伝えています。

ロールプレイでは、相手役から、

「どうしても今日必要なんです」

と返してもらいます。

そのとき、

「今日中に必要なのですね。今の業務との優先順位を上司に確認してもいいですか」

など、次の対応まで練習すると実践的です。

事例2 会議で反対意見を伝える

場面

会議で提案された案に懸念があります。しかし、周囲は賛成しているように見えます。

アサーティブな例としては、

「方向性には賛成です。一方で、スケジュールについて一つ確認したい点があります」

「私はこの日程だと準備時間が不足する可能性があると考えています。開始を1週間後ろにする案も検討できないでしょうか」

などが考えられます。

アサーションは「反対意見を強く言う技術」ではありません。賛成している部分と懸念している部分を分けて伝えることもできます。

家庭でのロールプレイ事例

身近な人ほど、「言わなくても分かってほしい」「今さら伝えにくい」と感じることがあります。家庭でのアサーションでは、相手への評価ではなく、具体的な行動を話題にすると整理しやすくなります。

事例1 家事を分担したい

責める言い方

「どうして私ばかり家事をしなきゃいけないの?」

アサーティブな例

「最近、夕食後の片づけまで一人でするのが負担になっています。食器洗いを担当してもらうことはできますか」

「負担」という自分の状態と、「食器洗いを担当してほしい」という要望を分けて伝えています。

相手が、

「仕事で疲れているから難しい」

と返した場合も想定します。

「毎日は難しいんだね。それなら、週末だけお願いするのはどうかな」

と話し合う練習ができます。

事例2 一人になる時間がほしい

家族やパートナーと過ごすことが嫌なのではなく、一人になる時間が必要な場合もあります。

例えば、

「今日は少し疲れているので、夕食後の1時間は一人で過ごしたいです。そのあとなら話せます」

と伝えられます。

「一人になりたい」という希望を、相手への拒絶と同じ意味にしないことがポイントです。

難しい相手を想定した練習

実際の人間関係では、こちらが丁寧に伝えれば必ず相手も丁寧に応じてくれるとは限りません。そのため、ロールプレイでは少し難しい返答も練習しておくと役立ちます。

例えば、仕事を断ったときに、

「前はやってくれたじゃないですか」

と言われたとします。

ここで慌てて長い説明を始めるのではなく、

「前回は時間が取れましたが、今日は難しいです」

と自分の回答を繰り返す方法があります。

さらに、

「少しくらい何とかなりませんか」

と言われたら、

「今日は難しいです。明日であれば対応できます」

と伝えます。

相手を説得しきることより、必要な境界線を落ち着いて伝える練習です。

ただし、立場の差が大きい職場や、威圧、ハラスメント、暴力などがある関係では、本人の伝え方だけで解決しようとする必要はありません。

アサーションは、どのような相手にも自分一人で対応するための方法ではありません。威圧的な言動やハラスメント、暴力、安全上の不安がある場合は、ロールプレイで伝え方を工夫することだけに頼らず、職場の相談窓口や公的な相談機関など、状況に応じた支援を利用することも検討してください。

大人向けワークシート

一人で継続して練習するなら、次の項目を毎回同じ形式で書くと変化を確認しやすくなります。

基本ワークシート

場面

何が起きたのかを、できるだけ具体的に書きます。

自分の気持ち

腹が立った、悲しかった、焦った、困った、怖かったなど、そのとき感じたことを書きます。

頭に浮かんだ考え

「断ったら嫌われる」「普通は分かってくれるはず」など、そのとき考えていたことを書きます。

本当はどうしたかったか

断りたかった、説明してほしかった、手伝ってほしかったなどを整理します。

相手に伝える内容

事実、自分の状態、要望を使って文章を作ります。

別の言い方

最低でももう一つ違う表現を作ります。

実際に使えそうか

「そのまま言える」「もう少し短くしたい」「この相手には言いにくい」などを確認します。

例えば次のようになります。

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項目記入例
場面友人が約束に30分遅れた
気持ち心配した、少し腹が立った
考え私との約束を軽く考えているのかもしれない
希望遅れるときは連絡してほしい
伝える内容「今日は連絡がなくて心配したよ。遅れるときは分かった時点で連絡をもらえると助かる」
別案「待っている間に心配になるので、遅れそうなときは一言連絡してほしいな」
使えそうか2つ目のほうが自分には言いやすい

ここで、「友人は私を軽く扱っている」という部分は事実ではなく、自分の頭に浮かんだ解釈です。

事実と解釈を分けるだけでも、必要以上に相手の意図を決めつけずに話しやすくなります。

ゲーム形式で練習する方法

ゲーム形式で練習する方法

グループ研修や勉強会では、正解を当てる形式ではなく、いろいろな表現を出し合うゲームにすると参加しやすくなります。

ゲーム1 言い換えチャレンジ

進行役が、攻撃的または非主張的になりやすい言葉を提示します。

例えば、

「もういいです。全部私がやります」

という言葉です。

参加者は、意味を大きく変えずにアサーティブな表現へ言い換えます。

  • 「一人で全部対応するのは難しいので、分担を相談したいです」
  • 「私はここまで担当するので、残りをお願いできますか」
  • 「今日できるのはここまでです。残りをどうするか相談させてください」

どれか一つを正解にするのではなく、「どの言い方なら自分が使いやすいか」を話し合います。

ゲーム2 3つの返答を作る

一つの依頼に対して、3種類のアサーティブな返答を考えます。

お題は、

「今週末、仕事を手伝ってくれない?」

などです。

参加者は、

  • 完全に断る
  • 条件付きで引き受ける
  • 別の日を提案する

という3種類を作ります。

例えば、

「今週末は予定があるので難しいです」

「土曜日は難しいですが、日曜日の午前中ならできます」

「今週末はできませんが、金曜日までなら30分ほど手伝えます」

といった違いが出ます。

このゲームでは、「断る=NOだけを言う」と考えず、自分が可能な範囲を探す練習ができます。

ゲーム3 気持ちと要望を分ける

カードや紙に、

「怒っている」 「困っている」 「寂しい」 「不安」 「疲れている」

などの気持ちを書きます。

別のカードには、

「手伝ってほしい」 「連絡してほしい」 「断りたい」 「話を聞いてほしい」 「時間がほしい」

などの要望を書きます。

一枚ずつ引き、両方が入る文章を作ります。

例えば、

「疲れている」+「手伝ってほしい」

なら、

「今日は少し疲れているので、夕食後の片づけを手伝ってもらえる?」

とできます。

ゲーム形式にすることで、自分がいつも使う表現以外にも触れやすくなります。

ロールプレイの振り返り方

ロールプレイは、実施後の振り返りによって学びが深まります。ただし、「もっと堂々と言うべきだった」と評価するだけでは、次の改善につながりにくいことがあります。

振り返りでは、次の点を確認します。

  • 自分の希望は具体的に伝わっていたか
  • 相手を決めつける表現になっていなかったか
  • 自分にとって無理のない言い方だったか
  • 声に出したときに長すぎなかったか
  • 相手が断った場合の次の選択肢を考えられたか

観察役がいる場合は、まず「できていたこと」を具体的に伝えるとよいでしょう。

「よかったです」だけではなく、

「『今日はできない』と最初に伝えていたので、希望が分かりやすかった」

「相手を責めずに、自分が困っている状況を説明していた」

など、行動を具体的に伝えます。

そのうえで、

「理由の説明を少し短くすると、もっと言いやすそう」

「相手が断ったときの次の言葉も考えてみよう」

と改善点を検討します。

日常で使える練習の始め方

アサーションは、いきなり難しい人間関係で試す必要はありません。比較的伝えやすい小さな場面から練習したほうが、自分に合った伝え方を見つけやすくなります。

例えば、

  • 飲食店で注文内容の間違いを伝える
  • 家族に見たいテレビ番組を伝える
  • 友人に待ち合わせ時間の変更をお願いする
  • 同僚に資料の確認時間を相談する
  • 会議で一つ質問する

といった場面があります。

「断る」「反対する」だけがアサーションではありません。

「私はこれが好きです」 「私はこうしたいです」 「少し考える時間がほしいです」 「説明をもう一度お願いできますか」

と、自分の希望を伝えることも練習になります。

ワンポイントアドバイス

難しい相手に一度うまく言えなかったからといって、アサーションができていないと決める必要はありません。まずは比較的安全で話しやすい場面から、「自分の希望を一文で伝える」練習を重ねてみてください。

うまくいかないときの見直し方

練習しても、実際の会話では言葉が出てこないことがあります。その場合は、伝え方だけではなく、場面の難しさも見直してみましょう。

言葉が長くなりすぎる

相手に納得してもらおうとすると、理由を何度も説明してしまうことがあります。

例えば、

「本当に申し訳ないんですけど、今日は前から予定があって、それも変更できるか確認したんですけど……」

と長くなる場合です。

必要であれば、

「今日は予定があるので参加できません」

と短くしてもかまいません。

相手の気持ちを決めつけている

「あなたは私のことを大切にしていない」

という表現には、相手の心理についての推測が含まれています。

代わりに、

「連絡がないと、私は予定を立てにくくて困ります」

と、自分が確認できる出来事と状態に戻します。

要望が曖昧になっている

「もう少し考えてほしい」

だけでは、相手が何をすればよいか分かりにくい場合があります。

「変更があるときは前日までに連絡してほしい」

のように具体的にすると話し合いやすくなります。

絶対に受け入れてもらおうとしている

アサーティブに伝えることと、相手を思いどおりに動かすことは同じではありません。

自分が希望を伝えても、相手が断ることはあります。その場合は、さらに話し合う、別の方法を探す、自分の対応範囲を決めるといった選択肢を考えます。

アサーションでは、自分に表現する自由があるのと同じように、相手にも違う意見を持つ自由があると考えます。

続けやすい練習のコツ

アサーショントレーニングは、一度に長時間取り組むより、実際に起きた小さな場面を短く振り返る方法でも続けられます。

おすすめなのは、1回につき一つの出来事だけ扱うことです。

その日の終わりに、

「今日、言いたかったけれど言わなかったことはあったか」

と振り返ります。

あれば、

  1. 何があったか
  2. どう感じたか
  3. 本当はどうしたかったか
  4. 次なら何と言うか

を数分で書きます。

実際にうまく言えた日も振り返ってみてください。

「なぜ今回は言いやすかったのか」を確認すると、自分に合う条件が見つかることがあります。

例えば、

「その場ですぐ答えず、少し考える時間を取ったから言えた」

「対面よりメッセージのほうが整理して伝えられた」

「最初に結論を一文で決めていたので言いやすかった」

などです。

アサーションは、誰に対しても同じ話し方をすることではありません。自分の特徴や相手との関係を理解しながら、使いやすい方法を増やしていくことが大切です。

アサーショントレーニングのよくある質問

アサーショントレーニングは一人でもできますか?

はい。一人でも取り組めます。

最近言えなかったことをワークシートに書き、「何が起きたか」「どう感じたか」「本当はどうしたかったか」「次ならどう伝えるか」を整理するだけでも練習になります。

その後、作った文章を実際に声に出すと、書くだけでは気づきにくい「長すぎる」「自分には言いにくい」といった点も確認できます。

無料でできるアサーショントレーニングはありますか?

特別な教材がなくても、紙やメモを使ったワーク、言い換え練習、一人ロールプレイなどは無料でできます。

最初は、市販教材を用意することよりも、自分が実際に困った場面を一つ選び、別の伝え方を考えてみるほうが実生活につながりやすい場合があります。

ロールプレイではどんな事例を使うとよいですか?

大人向けなら、仕事を断る、会議で意見を伝える、家事の分担を相談する、予定変更をお願いするなど、日常で起こりやすい場面がおすすめです。

最初から強い対立がある場面を選ぶ必要はありません。比較的話しやすい場面から始め、少しずつ難易度を上げていくと取り組みやすくなります。

アサーションのゲームは研修でも使えますか?

使えます。

例えば、「攻撃的な言葉をアサーティブに言い換える」「一つの依頼に対して3種類の断り方を考える」といったゲームは、複数の表現を比較する練習になります。

ただし、参加者の個人的な悩みを無理に題材にする必要はありません。研修では架空の事例を使い、安心して参加できる環境を整えることも大切です。

練習しても相手が変わらない場合はどうすればよいですか?

アサーションは、相手を変えるための技術ではありません。

自分の気持ちや希望を整理して伝え、それでも意見が一致しない場合には、別の案を相談する、対応できる範囲を決める、第三者へ相談するといった選択肢があります。

特に、ハラスメントや暴力など安全に関わる問題では、「もっと上手に伝えれば解決する」と考えず、必要な支援につながることを優先してください。

まとめ

アサーショントレーニングは、伝え方の知識を覚えるだけではなく、自分が実際に困った場面を題材にして、気持ちと要望を整理し、複数の言い方を試すことが大切です。

一人で取り組むなら、出来事、気持ち、本当の希望、次に使う言葉を書き出すワークシートから始められます。二人以上なら、職場や家庭の身近な事例を使ったロールプレイや、言い換えゲームも利用できます。

目指したいのは、いつでも完璧に話せるようになることではありません。

「本当は嫌だったのに何も言えなかった」という場面で、次は「今日は難しいです」と一言伝えられるようになる。それだけでも、自分の気持ちを大切にする選択肢は一つ増えます。

まずは最近の小さな出来事を一つ選び、「私はどう感じたのか」「本当はどうしたかったのか」「次なら何と言いたいか」を書いてみてください。自己理解を深めながらコミュニケーションについて継続して学びたい場合は、カラットセラピーの無料メール講座も学びを続ける一つの方法です。

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